プロ野球が、合併吸収を巡ってスト騒動に発展した。
「選手やファンに意向を無視して、企業(球団)トップの判断だけで勝手に合併を推進したのはケシカランからスト決行だ!」
という選手会の論理は、なんとも馬鹿げているではないか。
どの企業でも厳しい競争社会で生き残りをかけて、合併吸収も辞さないとするのは当然の努力であろう。世間では選手会を支持する声が圧倒的に多いようだが、ワタクシの意見はまったく違う。
プロ野球選手会なる団体の論理がいかに無茶苦茶かは、他の業界を例に採れば分かりやすいだろう。例えば愛知生まれの愛知育ちであるワタクシは、小学生の時に貰ったお年玉で初めて開設した口座は「東海銀行」のものであり、以来個人のメインバンク(というほどのものでもないが)として「東海」を数年間利用して来た。
といっても別段「東海」が好きだったとかというわけでは勿論なく、社会人となって名古屋で活動するようになってからも、単に「東海」が最も支店網が発達しているから便利だったというに尽きる。だから、東京の元請け会社経由で某官庁へ勤めた時、振込先に「東京三菱」を指定された時も
(面倒だから「東海」にしてくれませんかね・・・?)
と詰め寄ったのも、偏にどこにでも支店が存在するから引き出し易いという利便性のみを追求しての事であった。
そうして20年以上もマイバンクとして利用していれば、それなりに「馴染みの銀行」としての愛着が湧くものだから、或る日突然に
「三和銀行(などという訊いたこともない銀行)と合併して、UFJなどというわけの分からない名前になった」
と訊いた時は
(はぁ?
なんじゃ、そりゃ?)
とは思ったものの、そうしなければ立ち行かない内部事情あっての事だろうとは容易に想像がついたから、不満を感じながらも一ユーザーとしては慫慂とその事実を受け入れるほかはなかったし、合併(というよりは事実上の相手による吸収)を拒否して面倒な手続きをして作った口座そのものが無用の長物と化してしまうよりは、遥かにマシだと思ったものである。
これは野球で言えば一ファンの立場だが、では選手の立場からはどうか。野球選手というのは個人事業主になるのだろうが、実態は企業に所属する社員と同じような立場とみてよいだろう。企業からみれば、監督やコーチなども下っ端のようなものだが一応は役員と見ることも出来なくはないが、一選手なんてものはいかなスター選手といえど平社員も同様だ。
企業間の合併問題など、会社の存続に関わる重大事項を協議するのは言うまでもなく会社のトップクラスであり、そこに平社員の口を挟む余地などどこの会社とてあろうハズはない事は自明の理である。
会社に身柄を預けている平社員が、トップの決定に従うのは当たり前の事で「オレは三和との合併なんて認めねーぞー!」などといかに下っ端風情が息巻いたところで誰も相手にしてくれようはずがなく、トップの決定が気に食わないならケツをまくってさっさと会社を辞めるしかないのである。
近鉄がオリックスに合併されるのに関して、近鉄の選手が「選手の気持ちを無視して、勝手に合併を決めるなどケシカラン!」と怒りをあらわにするのは心情的にはわからなくもないが、そうしなければ近鉄球団そのものが潰れてなくなってしまい自分たちは路頭に迷うのだから、吸収されようとも野球が続けられるだけマシと考えるのが、大人の取る態度ではないのか。
球団のやり方がそんなに腹立たしいのであればアメリカへ行くもいいし、またアメリカが無理ならプロ野球にはさっさと見切りをつけて転職でもすればよかろうに、恐らくは殆どの選手はブツクサ言いながらも、結局はその「ケシカラン」といっていた合併後のチームの一員となるのであろう。
ただしこの辺りまでは、先にも触れたように心情的には幾らかは理解出来なくもない。が、まったく理解できないのが「己らの要求が訊き入れられないならストを構えようじゃねーか!」という選手会の態度である。
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