そもそもプロ野球は興行であり、興行というものは客からお金を取って自分たちの(高度な)プレーを見せることが第一義であるから、これを放棄する姿勢はそもそもプロとして失格というしかない。無論、労働組合として経営者側に対する脅しとかの駆け引きの要素が強いのではあろうが、いやしくもプロの選手たるものが公然と「スト」などという言葉を軽々しく口にしてはいけない。それは、自らの存在を否定する事である。
「我々選手やファンの意見を聞かずに、合併を推進する事はケシカラン!」 などと理想ばかりを言ってみたとて、現実に合併しなければやっていけないのでは、どうにもならないではないか。選手やファンの意見を聞けば、贔屓の球団の合併なんぞが理解を得られるわけもなく、そんな事を一々平社員や部外者に訊くようなバカな経営者がいたら、お目にかかりたいものだ。
三井と住友が合併するという、歴史から見れば比較にもならない重大事にして、住友(或いは三井)の社員が「オレは合併には断固反対だ!」などと息巻いたところで精々クビになるか干されるのが落ちであろうから、賢明な社員は思っていてもそんなアホな事は言わない。そんな社員の気持ちなどとは関係なく、市場の力学に従って粛々と動いていくのが社会というものであり「勝手に合併したのは納得イカンから、ストライキだ!」と仕事を放擲して不貞寝を続ける子供のような幼いメンタリティの持ち主は、一般の会社ならば即刻クビになるのは確実なのである。
そもそもプロ野球などは、一般的には恐らくは興味のない人の方が多いのだろうし、所詮は「娯楽」といっては失礼かもしれないがエンターテイメントの世界である。鉄道や銀行のストなどのように、一般社会において正常に機能しなくては死活問題になりかねない業界と違い、ゲームがないからといっても当事者以外には生活に支障をきたすものでもないのだから、ストなどは大して効果的な手段とは思えない。むしろ「なくても社会生活には、さしたる影響はないじゃないか・・・」という事を、わざわざ知らしめただけに過ぎないのではないのか、と一ファンとしては逆に心配になってくるくらいである。
いずれにしろ、多くの興味のない人からすれば
「なんで一般のニュースで、あれほどバカみたいに連日騒ぐ必要があるのか・・・?
そんな大層な事なのか?」
と眉を顰めさせ、益々野球嫌いに拍車が掛かるくらいが関の山であろう。
プロ野球選手よ、どうしてこんな簡単な理屈すら分からないのか?
かつては野村ID野球の申し子と言われ、球界を代表する知性派と思われた古田も所詮は野球バカに過ぎなかったのか?
副会長の立浪が、ストに反対と訊いた時は
(やはり良識派もいるじゃないか・・・)
と、嬉しくなったものだったが
「このままでは、日本シリーズがなくなってしまう・・・これまで何のために頑張って来たかわからないし、せめて来年の開幕とかからにして欲しい・・・」
いう嘆きを訊いた時には、正直呆れてしまった。副会長ともあろうものが、私利私欲しか念頭にない選手会・・・実に、お寒い限りというしかないではないか。
しかも・・・である。どうせやるのなら最後まで徹底的にアホを貫けばいいものを、たったの2試合だけストライキをしておしまいというのでは、効果を推し量っているような下種な駆け引きのようなものだけが見え隠れして、ナントモ中途半端としか言いようがない。
選手たちよ・・・時代遅れのストライキなど、下らぬ事に血道をあげているような暇があるなら、その情熱をもっと練習に振り向けてくれよ。そうすれば、まったく面白味のないペナントレースも少しくらいは興味深くなり、本当の野球ファンを惹き付ける事が出来るんじゃないのか?
野球人気の低下が叫ばれて久しい現状にあって、球団批判もいいがそれ以前に自分たちの存在価値の原点を見つめ直してみる事こそ、真に必要なのではないかな?
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