美和について、様々な噂を耳にする。
中でも、最も気になったものが
(アイツは病的に淫乱な女だ・・・)
という評判だ。
確かに日ごろの美和を見ていると、あの普段から流し目でシナを作るような態度は、そうした噂に信憑性を持たせるものがあった。勿論、大学生ともなって男ばかりが集まれば、こうした噂に花が咲く事はまったく珍しくないし、噂になったのは必ずしも美和だけではなかったが、やはり現時点で最も気になるのは美和の噂だ。
いずれにしても、こういう事はその道のオーソリティに聞く事だ・・・と、ナンパ師のマサムネに探りを入れる事にした。
「おい、マサムネ!
美和の事で、変な噂をよく耳にするんだがな・・・」
「( ´Д`)はぁ?
なんのこっちゃ?」
「つまりだな・・・あの女は、病的な淫乱だとか何とか・・・」
「(ノ∀`)アヒャヒャヒャヒャ
まあその噂は有名やし、今更っちゅーもんやわな」
「まあそうだが・・・噂の信憑性については、オーソリティに訊くのが手っ取り早いかと思ってな」
「オーソリティか・・・まあな」
と満更でもないマサムネは、ハナを蠢かした。
「しかし、なんやな・・・そないな事を訊いてくるちゅー事はやが・・・オマエも美和に対する幻想はこの際、はよー捨てといた方がえーっちゅーこっちゃ」
「いや、まあ幻想云々は、ともかくとしてだな・・・事実関係を知りたいだけなんだが。て事はつまり、噂は本物?」
「噂ゆーんは、オーバーに尾鰭やナンカが付いたりするモンやが、火のないトコに煙がたたんちゅーのも、また一面の真実やな」
「なるほど・・・」
「まあ実際のとこは、言われとるほどではあらへんやろーな。あれでメッチャ好みも激しいせやから、誰でも相手にするっちゅーんは、まず考えられへんな。そーはゆーても、その種の冒険主義者である事は確かやろう。ま、オレはアイツを弁護する気などサラサラあらへんが、淫乱ゆーのとはちゃう思っとるがな」
「つまり、同病相哀れむというヤツか・・・」
「アホ抜かせ・・・誰が同病やねん」
「しかし・・・あれは単なる噂に過ぎず、実際のところは案外真面目って事は・・・1ミリもなさそうだよな?」
「そら、あらへんな・・・オレが知っとるだけでも・・・まあ2人か3人くらいはおるはずやしな」
こうした事に関しては腕だけでなく、物凄い情報網を持った男だと改めて感心せざるを得なかった。
「無論、そん中にはオレも含まれとる事は言うまでもあらへんが・・・」
マサムネは、さして自慢する風でもなく、彼らしく実にサラリと言ってのけた。
「ナヌ?
オマエが・・・?
そりゃ、マジかい?」
「(≧∇≦)ブァッハハ!
まあ、オレも含まれとるちゅー以上に、間違いなくオレが一番乗りやろーて。
あれはなんせ、ラウンジで顔合わせて、一週間も経ってへんやったしな」
「ムムム・・・さすがと言うべきか・・・どこまでも抜け目のないヤローだな。で、今も続いとると?」
「せーへんて、んなもん。」
というと、マサムネはプレイボーイらしく鬱陶しそうに顔の前で手を振って見せると
「向こうは煩くゆーとったけど、お互いあくまで遊びのこっちゃで。元々オレは、もっとセクシー系が好みやしな・・・ありゃ痩せ過ぎて、オレの好みちゃうわな」
相変わらず、口さがない。
「オマエは、まだ女には免疫が少ねーよーやが、あないな女には気ぃつけなアカンで。遊びと割り切ってなら後腐れのないヤツやが、深間に嵌ったら難儀や。実際のとこ信憑性あるんはや、オレともう一人くらいやろうが・・・アイツは普段はヘラヘラしとるが、あー見えて、おっそろしい気性の女やで、あれは。そこんとこの見極めが重要やな・・・オレは、ほどほどに距離を置いて付きおーて来とるから、なんとか無事にすんどるようなもんやが、トーシロが手を出す相手やないわ」
さすがに名うてのプレイボーイだけあって、相手の見極めには年季が入っていそうだ。
「どっちにせよ、オレはあの異様なテンションには、よー付いていかれへんて・・・」
とさすがのマサムネも、美和のあのワケのわからなさには散々振り回されたか、お手上げといった態であった。
これまで薄々には感じていた事とはいえ、マサムネの口からこれだけハッキリとしたことを訊かされては、やはり大きなショックを受けずにはいられない。
(やはり、あの噂は満更デタラメではなかったのか・・・)
もっとも、マサムネをよく知る友人からは
「アイツの言うことは、話半分どころか1/3くらいに聞いといた方がえーで。芥川賞作家顔負けの創作しよるからな・・・」
などと、その「誇大癖」を聞かされたことで、彼の発する言葉の真偽自体が、無責任な風聞以上に甚だ怪しい気がしてきたが (* ̄m ̄)ブッ
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