普段はスポーツ中継くらいしかテレビを観ないワタクシですが、世界レベルの大会は可能な限り観戦する事にしています。6日から14日まで行われていた「世界陸上ヘルシンキ大会」のお蔭で、すっかり寝不足気味となってしまいました。
陸上では、どの大会でもワタクシの最も注目している競技といえば、やはり100m走であり、さらに200m走であります。100mの決勝のレベルは男子で10秒弱、女子で11秒弱。普段の感覚では、ほんの一瞬に過ぎてしまうような時間であり、男子トップの9.8秒台を時速に直すと約36.5kmになります。
日常は職場まで自転車通勤をしているワタクシですが、どこまで行っても狭い東京の道で3kmほどの道程を、およそ10分かけているので時速18kmという事になり、これの約2倍のスピードという事から考えても「時速36.5km」というのが、自力で走るスピードとしていかに驚異的なスピードかがわかろうというものです。
これは100m走に限らず、どの競技にも言える事ですが生のレースの緊張感もさる事ながら、VTRで観る映像がこれまた堪らなくおもしろい。100m走であればわずか10秒足らずですが、そのリアルではあっという間の短い時間に凝縮された表情の移ろいなどを見ていると、あの10秒の中にアインシュタインのようなどんな天才といえど、到底想像も付かぬような完璧なまでに計算され尽くされた高い境地のレースの組み立てと、それを実現してみせる芸術品のような極限にまで鍛え上げた人々の肉体の躍動する美しさが素晴らしい。
さらには我こそが一番である事を証明せんとする、勝負にかける逞しい執念と強い精神力を裡に秘めた、あのピーンと張り詰めたような緊張感こそはスポーツの醍醐味であり、そして人類の極限レベルに挑む真摯な姿勢はやはり熱く胸に迫るものがあります。まさに誰にも書く事の出来ない、凝縮された10秒の最高のドラマがそこにあります。
ところで2年前のパリ大会の時にも書きましたが、折角世界最高峰のアスリートたちの高度な戦いが目の前で繰り広げられているのだから、そのナマの映像を淡淡と流していればよいものを、一つの競技が終わる度にちょこまかと切り換わる「スタジオ映像」は、ウザイと言うのを通り越して最早、罪悪としか言いようがないのではないでしょうか。それもナントカの一つ覚えのように、例によってサル顔のニーちゃんと、若くてかわいい子が他に掃いて捨てるほどいそうなものなのに、元から綺麗でもない上に、すっかり古ぼけたオバサンアナのコンビではまったく何の飾りにもならず、何の根拠もなくお遊びに近い素人の競馬予想のような順位予想は、人生を賭けて戦っている世界を代表するアスリートたちを冒涜したものである、と断罪するしかないでしょう。
さて、陸上の日本選手でメダルが有力視できる種目といえば、戦前の予想では女子マラソンくらいなもので、後は運が良ければ男子マラソンくらいか。黒人選手の独壇場とも言えるスプリント種目で、前回見事に銅メダルを獲得した200mの末続は正直言って出来過ぎという気がしたが、末続に代わって今度は為末が400mハードルという難しい種目で、見事銅メダルを獲得したのは驚いたし、これはまあ立派としか言いようがない。
男子マラソンでは、尾方選手が銅メダルを獲得したのを始め、高岡選手の4位は立派だったと言えたが、五人の選手がエントリーというのは多過ぎる感は否めない。そもそも有力選手が多い女子はともかくとして、過去の実績から見てどう考えても男子のエントリー五人は多過ぎると思うが、他の国は五人もエントリーしているのだろうか?
と、ここまで書いたのは男子マラソンが終わった直後だったが、翌日の女子マラソンでは、ご存知の通りもっと悲惨な結果が待ち受けていた。
元々ラドクリフ、ヌデレバという世界を代表するスピードランナーと戦えるのは日本といえど高橋尚子選手、或いは野口みずき選手くらいしか見当たらないのだから、ラドクリフかヌデレバに何らかのアクシデントがない限りは、金と銀は既に予約済みのようなものだったが、いずれにしても五人もエントリーしてメダルはおろか、6位が最高では「惨敗」というしかない情けなさであり、税金の無駄使いもいいところだ。
前回五輪の「野口・土佐・市橋」という、展開次第ではいずれもがメダルを期待できる顔ぶれならともかく、殆ど聞いた事のない選手ばかりを五人も送り出す意味があったのだろうか?
唯一大騒ぎしていた弘山に至っては、8位入賞がやっとというテイタラクである。おまけに例によって、都はるみに良く似たオバサンの猫撫で声だけでもウザイところへ持って来て、千葉の小学生のような知性のかけらもないキンキン声が、実に耳について仕方がなかった。世界の頂点を何度も極めた高橋など、話の出来て遥かに解説に適した人材がいそうなものだが。
個人競技であるマラソンで「団体金・銀」というのも、なんともしっくりとこないものだ。番組構成的には、同じ映像ばかりを繰り返し垂れ流すのも鬱陶しい。
男子100mと200mを制したアメリカ選手のロボットのような理想的なフォームと圧倒的な力強さ、また女子棒高跳びで世界記録を出した、ロシア選手の見せた跳躍の美しさと、サイボーグのようなプロポーションの素晴らしさは特筆モノではあったが、あれだけ何十回も繰り返し垂れ流されては折角の感動が薄れてしまうではないか。
アホみたいに興奮して絶叫ばかりしている実況アナも、厚かましいだけのレポーターのコタニ(一体、あれのどこが美人?)も、まったく必要ないと思うのはワタクシだけでしょうか?
またスタジオ映像のウザイ事は、前にも触れた。あのサル顔とイモオバサンのコンビが、ワタクシにはどうにも気に食わぬ。若い頃から、どこからどう見たらあのサル顔がイケメンに見えるのかが、ワタクシには未だに理解出来ないのである(精々、年齢の割りに若く見えるくらいがとりえかと。
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