2005/08/20

地味キャラ

 さて、ケーコと一緒に来た2人のうちの小柄な方がヒロミだ。

 

正直なところ小柄だけでなく、外見的におよそパッとしたところがない。美しいものに対して最上の憧れを持つ自分としては、ケーコ(の場合は、それ以外の理由が大きかったが)と同様に、ヒロミには最初から最後まで「恋愛感情」を抱いたことは一度もなかった。この後に、続々登場してくる『A女子大軍団』の中の1人という位置付けだが、正直なところ軍団の中で外見の美しさでは下位を争うレベルと言えた。

 

小柄でやや色黒の肌といい、おかめのような地味な和風顔、もっと言えば全体的に人目を惹きそうな要素に乏しいところは、典型的な「イモねーちゃん」のイメージだったが、実際に滋賀の田舎の出らしい。

 

 ケーコの英文科とは微妙に違うらしい「言語コミュニケーション」とやらが専攻だが、英語をやっているのは同じだ。その専攻の賜物か、はたまた持って生まれたものかは知る由もないが、コミュニケーション力に長けているのが、このヒロミの特技だった。同じ「人見知りをしない性格」とはいえ、あの明け透けで無神経なケーコとは違い、ヒロミの方はモテないがゆえに身に着けた特技(?)なのか、相手の顔色を読みながら柔軟に対応していくのを身上としていた。


 冒頭に書いたように、あれだけ外見的魅力に欠けたヒロミが、(A女軍団という恩恵はあったにせよ)それなりに男子学生に相手にされたのは、そのコミュニケーション能力に負うところが大きい。


 実際には、あの地味な外見に似合わず、ケーコ張りの気の強さを持ち合わせていたことは後々の後知恵で、当初は猫を被っていつもニコヤカにしていただけに「愛嬌者」として愛されていたのである。こうしてみると、ある意味単純で直情型のケーコとは違い、なかなかの戦略家だったのだとも言えた。

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