2005/08/19

リムスキー=コルサコフ 交響組曲『シェエラザード』第3楽章《若い王子と王女》

 


若い王子と王女」という題は、どの物語を示しているかわかっていませんが、この楽章に流れる2つの主題がよく似た性格をしているので、双子のように似ているカマール・アル・ザマン(新月)王子と、ブドゥール(満月)王女の恋物語ではないか、という説もあります。

 

曲は弦楽器による、流れるような美しい主題で始まります。若い王子と王女の愛の語らいを思わせるこのメロディは、全曲を通じて一番素晴らしいといってもよいでしょう。  様々な木管楽器に彩られ、次第に活気を帯びていきます。

 

中間部に入ると陽気なリズムになり、クラリネットが歯切れのよいメロディを奏でます。この部分の小太鼓の用法は、作曲者独特のものです。しばらくすると再び曲ががらりと変わり、初めの主題が現れシェエラザードの主題がその後に続きます。そしてそのヴァイオリン・ソロの間を縫うようにして、中間部のメロディが出てきたりします。おそらく「朝の光が近づいた」のでしょう。シェエラザードの主題を思わせるメロディが木管楽器で名残惜しそうに奏でられ、静かに終わります。

 

リムスキー=コルサコフの晩年

1883年から1894年まで、宗務局(宮廷礼拝堂)においてバラキレフの助手となる。この間に、ロシア正教の奉神礼(典礼)音楽について研究することができた。指揮者としても活動し、豪商ミトロファン・ベリャーエフの後援する「ロシア交響楽演奏協会」を指導したほか、外国でも演奏活動を行う。

 

リムスキー=コルサコフは貴族の出自ではあったが、ロシア帝国の近代化の立ち遅れに批判的で、学生の革命運動にも同情的であった。1905年に政府批判を行なったため、ペテルブルク音楽院の院長職および教授職を解雇されるが、これが口火となって彼を慕う多くの同僚(グラズノフやリャードフら)により、相次いで辞職騒ぎが引き起こされた。結果的にリムスキー=コルサコフは、復職することとなる。しかし政府当局との軋轢はなおも続き、遺作となった歌劇《金鶏 Le Coq d'Or 》(1906年~1907年)は反体制的で帝政の転覆を図るものと看做され、作曲者の死後の1909年まで初演が遅らせられた。

出典Wikipedia

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