2005/12/05

大涌谷(箱根・鎌倉・伊豆旅行)(5)

大涌谷に来たのは、中学時代の修学旅行以来だから、何年ぶりか。中学の修学旅行は東京・箱根コースで、東京では国会議事堂だったかを見たはずだが殆ど記憶が飛んでいる。箱根の方は、大涌谷で食べた黒卵や夜の街でのチャンバラごっこ、また小湧園での枕投げと、どれも記憶が鮮明だ。中でも、大涌谷のあの印象深い噴煙地を見ながら、強烈な硫黄臭に包まれた記憶は忘れ難かった。

 

そんなわけで、強羅からケーブルカーで中強羅、上強羅と進み、終点の早雲山でロープウェイに乗り換えると、次第に期待に胸が膨らんでくる。早雲山から大涌谷まではわずか一駅だが、ロープウェイは10分ほどの空の旅である。


このロープウェイが素晴らしい。

 


ちょうど真ん中辺りまで山々の景色が続き見惚れていると、そろそろ中間点辺りに差し掛かるろうというところで、あたかも舞台が反転するように一瞬、止まって感じた。

 

(ん・・・どうした?)

 

ガタン

 

という音とともに下りになり、それまでの穏やかな山々の景色が一変した。

 

「うわー。凄い!」

 

乗客が、一斉に喚起の声を上げたのも無理はない。そこには、かつて「地獄谷」と言われたあの噴煙地が、視界いっぱいに広がっているのである。

実際には、この時は行きも帰りもロープウェイの乗客は自分一人だけだった。

 

<大涌谷は、二回のプロセスを経て形成された。約3100年前、箱根火山で水蒸気爆発による山崩れが発生し、堆積物が貯まった。さらに、約2900年前に小規模な火砕流が発生し冠ヶ岳ができ、また火山砕屑物が積もった。この火山砕屑物と山崩れによる堆積物の間が、現在の大涌谷となっている。かつて「地獄谷」と呼ばれていたが、明治天皇・皇后の行幸啓に際し改称された>

 

まさに「地獄谷」と称した方が、相応しいかもしれない。大自然の凄さを実感でき、それが遥か上空から見ているのに、あの鼻にツント来るような独特の硫黄臭とともに間近迫ってくる迫力は圧巻だ。

 

<大涌谷観光センターが整備され、観光用に噴煙や硫黄を見ることが出来るようになっている。


ただし、硫黄の採取は原則として禁止されており、硫化水素が噴出しているため健康上の注意が必要である。

 

かつては大涌谷自然科学館が存在したが、2003年に閉館している。また地熱を利用して作られた、ゆで卵が販売されている。当地で湧いている温泉に含まれる硫黄と鉄分が卵の殻に結びつき、黒く変色していることから黒玉子と呼ばれる。黒玉子は1個食べると7年寿命が延びるというふれこみで、軽食・土産として人気がある>

 


 

<箱根山は神奈川県足柄下郡箱根町を中心に、神奈川県と静岡県に跨る火山の総称である。富士箱根伊豆国立公園に指定されている。中央火口丘と二重の外輪山で構成され、内側にはカルデラ湖の芦ノ湖がある。現在でも大涌谷などで火山活動が見られるほか、箱根温泉や湯河原温泉のように山腹・山麓の多くの場所で温泉が湧出している。そのため、箱根にはカルデラ内部から山麓にいたるまで多くの場所に温泉郷が形成され、古来より湯治場として近代からはその他の観光開発も含め、観光地としても多くの人が訪れる場所となっている>

 

こうして、芦ノ湖と並ぶ人気の観光スポットである大涌谷に、ン十年ぶりに足を踏み入れた。

 

<箱根火山の活動は約40万年前に始まり、何度も噴火を繰り返して、約25万年前には古箱根火山と呼ばれる標高2,700m にも達する富士山型の成層火山が形成された。その後も噴火を繰り返し、約18万年前に空洞化した地下に山の中心部が陥没して、大きなカルデラが誕生した。この時、周りに取り残されたのが塔ノ峰、明星ヶ岳、明神ヶ岳、丸岳、三国山、大観山、白銀山など海抜1,000m 前後の「古期外輪山」である。金時山は外輪山の一峰のように見えるが、古箱根火山の山腹から出た寄生火山(側火山)であった>

 

<カルデラ誕生後の数万年は、穏やかな活動を続けていたが、約13万年前から再び火山活動が活発になり、カルデラ内に小型の楯状火山ができた。約5万年前、この楯状火山が大噴火し、再び陥没して東部から北部に半月形に取り残されたのが浅間山、鷹巣山、屏風山などの「新期外輪山」である。

 

<4万年前になると、カルデラ内で再び火山活動が始まり、台ヶ岳、箱根駒ヶ岳、上二子山、下二子山などの溶岩ドームができた。このときの火砕流により旧早川が堰き止められ、現在の仙石原一帯に仙石原湖と呼ばれるカルデラ湖が誕生した。

 

3000年前には、神山北西斜面で山体の多くを崩壊させる、大きな水蒸気爆発が発生。これにより大涌谷が生まれ、水蒸気爆発によって引き起こされた土石流により仙石原湖の半分以上が埋没して仙石原となり、また早川の上流部(現在の湖尻付近)がせき止められて芦ノ湖が誕生した。


 



<冠ヶ岳は、神奈川県足柄下郡箱根町にある標高1,409mの山。箱根内輪山の一峰で、大涌谷から見ると烏帽子の形が印象的な山である。山頂は木々で覆われていて、展望はない>

 

まさに「歴史のロマンが詰まった山」である。

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