第1楽章と同様、印象的な導入部から幕を開け曲の冒頭からすぐに惹きつけられてしまう。
すぐに第1主題が登場するが、冒頭からとにかくカッコ良い。木管による民謡風メロディ(A)が登場する。これまで出てきたテーマと同じく、最初に木管で提示した後に弦楽合奏へと移行する。続いて第1主題の変奏。ここで第1楽章の第1主題が、今度はチェロとヴァイオリンに乗って登場する。
民謡風メロディ(B)が登場。これがまた実に美しいが、このメロディは2度繰り返される。3度目の繰り返しの途中で、第1主題の変奏を経て冒頭の旋律に還っていく。
民謡風メロディ(A)が、再び登場。圧巻はここからだ。ここで第1楽章の第1主題がホルンで登場する。木管による第3楽章主題の断片と絡み合いながらの展開が素晴らしい。断片的に聴こえる第1主題の中を縫うように第1楽章の第1主題が再登場し、さらにトランペットによって第1楽章の第3主題がエコーする。この辺りの処理の手際も実に見事だ。
一流の作曲家にも、美しく魅力溢れるメロディを生み出すのが得意な「右脳派」と、メロディよりも論理的な楽章構成に力を発揮する「左脳派」など様々なタイプ分けが出来そうだが、ドヴォルザークの場合は典型的な「右脳派」だ。構成は苦手と言われながら、メロディ創りに関しては魔法使いのように、次々と斬新かつ素敵なメロディを編み出してきた。
まだ名が売れていなかった頃のドヴォルザークの才能に逸早く着目したのはブラームスだった。ハンガリー民謡にテーマを採った自らの『ハンガリー舞曲集』の成功を踏まえ、スラブ系民族のドヴォルザークにインスピレーションを与えると、忽ちにして稀代のメロディメーカーは『スラブ舞曲集』という素晴らしい連作曲集を作成してしまったのだった。
ドヴォルザークは、この第3楽章をインディアンの伝説的な英雄を扱ったロングフェローの《ハイアワサの歌》の中の「結婚の祭典」のところでインディアンたちが踊っているのを描いた詩からの霊感で作曲したと言われる。木管に哀愁味のある新しい旋律も歌わされていて、非常に幻想的で美しい楽章である。全曲中で最も目立たない第3楽章と言えるが、決して他楽章にも引けを取らない充実度だと思う。
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