2005/12/01

J.S.バッハ トッカータ、アダージョとフーガ ハ長調 BWV564


クラシック界のニ大巨頭といえば真っ先にモーツァルトとベートーヴェンが思い浮かぶが、実はこの2人に大きな影響を与えたJ.S.バッハこそは、両巨頭のみならず後世の多くの音楽家たちに最も大きな影響を齎した存在でもあり、故に『音楽の父』と呼ばれているのである(実は、このバッハの大先輩に当たるパレストリーナこそが『真の音楽の父』とする説もあるが、それに関しては省略)

 

今でこその大作曲家の「大バッハ」ではあるが、元々はオルガニストであった。主として、教会でオルガンを弾いていたため作曲家=芸術家としては認知されず、ほぼ同時代に生きたヴィヴァルディやヘンデル、テレマンなどは言うに及ばず、信じられないことに息子であるC.P.EバッハやJ.C.バッハといった作曲家に比べてさえも、殆んど無名といってもいい存在に過ぎなかったのである。

 

若い頃から大変な勉強家で、旅行好きのヴィヴァルディが各地で買いとってきた楽譜の払い下げを受けたり、兄秘蔵の楽譜を密かに拝借し夜中の月明かりを頼りに、総て暗記してしまったが、これが晩年の失明の原因になったとも言われる。また、尊敬するオルガニスト・ブクステフーデの演奏を聴くため、実に400kmもの道程を歩いて行ったという桁外れな健脚と情熱を垣間見せるエピソードなど、挙げていけば枚挙に暇がない。さらに多くの人々がそうであるように、ワタクシ自身もClassicを聴き始めた10代の頃は「バッハ」と訊いただけでなんとなく難しそうなイメージが強く、どちらかといえば聴く前から敬遠しがちであった。

 

バッハといえば、多くのジャンルに渡ってそのジャンルの「聖書」と仰ぎ見られるような傑作を数多く遺しているが、代表作である『マタイ受難曲』を始めとした宗教音楽とともに、質・量ともに最も充実しているのがやはり専門分野であるオルガン作品で、その数はなんと400500曲を数えると言うわれている。

 

バッハ弾きのオルガニストとなると、それこそ世界中に星の数ほども存在しているのだろうが、中でも最も有名なのはドイツのヘルムート・ヴァルヒャだ。なんと全盲というハンディを背負いながら、難曲中の難曲揃いと言われるバッハのあの450曲を総て暗譜してしまい、最初にバッハのオルガン全集を完成させてしまった偉人として、その世界では知らぬものなき存在なのである。あまり熱心ではなかった(?)ハイドンを初め、良い教師に巡りあう事が出来ず、過去の作曲家の作品研究に没頭したベートーヴェンは、当時あまり知られていなかったバッハの作品に驚き

 

「バッハはBach(「小川」の意味)ではなく、Mer(大海)である」

 

と賞賛した。

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