『映像』(Images)と名付けられた作品は、全部で3つある。
第1巻(1905)と第2巻(1907)はいずれもピアノの為に書かれ、第3巻も含めて全て3つの曲から構成されている。この第3巻は管弦楽のための作品ではあるが、元々は第2巻の姉妹篇として2台ピアノのための作品として構想されたが、作曲の途中でこれを管弦楽の為に作品に発展させた。
ドビュッシーは、この作品に対して
「『映像』では、何か異なったものを試みた。ある愚者はまったく間違えた用いかたをして印象主義と呼んでいるもの、特に神秘的な効果の最大の創造者であったターナーに対して、批評家たちが何の躊躇いも無く適用したものだが、そのリアリティの効果である」
と述べている。
第3曲の《春のロンド》の初演は1910、コンセール・デュランでドビュッシー自身の指揮で行われた。『映像』に於いては3つの曲をそれぞれイギリス、スペイン、フランスの異なる風土的素材を求めているが、それがドビュッシーが述べた「何か異なったもの」に結びつくものと考えられる。
この3つの曲は、それぞれ独立している。第1曲の《ジーグ》は実際には最後に書かれた曲で、オーケストレーションの最後の部分はドビュッシーの弟子のアンドレ・カプレによって仕上げられ、1913年に初演が行われた。
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