2004/10/29

シベリウス 交響曲第1番(第4楽章)



※出典 http://www.yung.jp/index.php

 そういうシベリウスの素晴らしさが、最もよく表れているのが最終楽章でしょう。漆黒のツンドラの大地を思わせる第1主題の彼方から朝日が上ってくるような第2主題は、とても魅力的です。

これは、この楽章単独で演奏しても充分に成り立つ音楽でしょう。その意味では極めて「交響詩」的な音楽なのですが、最後に冒頭の主題で壮大に締めくくることで、交響曲としてのまとまりをつけています。

ただし、こういうシベリウスの特長が前面に出てくるのは、交響曲で言えば第2番までです。3番以降になると、そう言う息の長い旋律的な主題は使わなくなり、短い断片のような旋律とも言えない動機のようなものを、パッチワークのように貼り合わせていくようになっていきます。

そして、それこそが西洋古典派の音楽法則やロシアのチャイコフスキーの呪縛から逃れるために必要だったことは頭では理解できるのですが、こういう瞑想的静か美しさに満ちた音楽を聞くと、少しだけ残念な気持ちにもなるのです。

0 件のコメント:

コメントを投稿