2004/10/15

ニヒリスト(高校生図鑑part7)

 12月、第4期定期考査が行われ、過去のテストで常に上位に位置していたカトーが、遂にトップに立った。

入学直後に行われた学力考査ではトップを取ったものの、定期考査でのトップはこれが初で、地元A市の学生としても初のトップとなる。

カトーは、A市にある5つの中学では最も伝統があり、学生数も多い『A中』の出身である。『A中』では生徒会長を務め、性格的にも人当たりの良さや如才のなさなど申し分なかった。

あの口が悪く滅多に人を誉める事などなかった、同窓のシゲオですら

「カトーだけは、まったく非の打ち所がない・・・」

とまで、褒め上げていたくらいだ。

幸か不幸か、あまり接触の機会がなかった傍目からの印象では、確かに色々な面で優れていると感じはしたものの、反面でどことなく嫌味っぽさがある点は否めなかったが。

このカトーの「ニヒルな性格」を表しているのが「中学生読書感想文コンクール」の表彰式でのエピソードだ。この年、最高の「金賞」を射止めた麻衣子が、仮病を使って表彰式を欠席した(極度のあがり症のためだった)

「主役」を欠いた間抜けな表彰式となってしまい「受賞の喜び」で主役にマイクを向けるはずの司会者は戸惑ったが、そこに幸いにも「銀賞」が2人いる。

「それでは『受賞の喜び』ですが・・・残念ながら「金賞」のスズキさんが欠席のため、代わりに「銀賞」受賞のお二人にお願いしましょう・・・まずは、にゃべっち君・・・」

「はぁ?」

唐突に名を呼ばれ

(こんな賞をいただけるとは、身に余る光栄です・・・)

というセリフが期待されているだろうことはわかっていたが、つい本音が出てしまった。

「「銀賞」は残念というか・・・「金賞」を狙っていたので・・・」

狼狽した司会者は、慌てて

「それでは、銀賞主席のカトー君・・・『喜びの言葉』をどうぞ・・・」

と救いを求めるように、もう一人の利発そうな少年に水を向けた。

勝手なもので

(上手くフォローしてくれよ・・・)

という願いも空しく、カトーは

「複雑な心境です・・・」

と、やってのけた (* ̄m ̄)ブッ
 
益益、慌てた司会者は、入選者に救いの目を向けた。入選者5人のうち、主席のシガと残る4人の中で最も優等生風の真紀を指名したのは正解だった。

「このような賞を戴けるとは思っていなかったので、大変光栄です!」

と、期待通りのセリフを吐いて、その場を丸く治めたのだった。

 このカトーに続く2位はマザーだ。第2期からの「3連覇」の偉業は逃したとはいえ、ここまで4期の定期考査は全てトップか2位という天才ぶりを見せつける。続くタカミネは、第1期こそトップに立ったものの第2期から3期連続3位と、ここへ来てマザーにやや水をあけられた形だ。お約束のトップ3に続く4位には前回27位のヒノが、さらに5位のフクザワを挟み、6位のキトーも30位から一気の大躍進を見せた。

前回15位まで下がってにゃべっちと並んでいたヒムロが7位に復活する一方で、前回初のトップに立ったコンド―が8位に大きく後退していた。そして910位には、前回20番近くまで下がっていた麻衣子、淳子が巻き返してきた。  

今回は50番までの発表だ。前回3位で上位常連のサトジュンが10番以下に下がり、18位にはもろこが食い込む健闘の一方、にゃべは遂に20番台まで後退 (゜◇゜)~ ガーン

29位に茜、30位にムラカミ、前回9位の真紀は35位、同じく前回7位のヤマモトも38位まで暴落していた。前回19位の梓と前回24位の愛子の『B中』同窓2人も、揃って44位と45位に凋落という受難の結果が待っていた。

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