2004/10/19

三大アヴェ・マリア


シューベルトのアヴェ・マリア『エレンの歌 第3番』
 

サラ・ブライトマンの美しい歌声は、この幻想的な曲にピッタリで隅々にまで神経の行き届いた丁寧な歌唱は、実に素晴らしい。グノーとカッチーニと並ぶ「三大アヴェ・マリア」として有名な曲だが、音楽としてはこれが一番魅力的だ。

シューベルト最晩年の歌曲の一つで、伸びやかで息の長い旋律ゆえに、シューベルトの歌曲の中では最も人気の高い一つであるが、作曲者の死後から二世紀近い現在でも、いくつか誤解もされている。その一つは、元々の歌詞に「アヴェ・マリア」と出てくるために、この歌曲が宗教音楽であると思われていることである。

この歌曲の開始のフレーズで、反復句である「アヴェ・マリア」(ラテン語で「めでたしマリア様」)は、シューベルトの旋律にローマ・カトリックに伝統的なラテン語の典礼文を載せる、という発想に行き着いた。こうして、シューベルトの旋律にラテン語典礼文を載せて歌うことは現在しばしば行われており、そのためシューベルトが元より典礼文に曲付けして《アヴェ・マリア》という宗教曲を作曲したのだ、と誤解される原因となった》

グノーのアヴェ・マリア

「シューベルトのアヴェ・マリア」と並ぶ有名曲だが、実際にはグノーのオリジナルではなくJ.S.バッハの《平均律クラヴィーア曲集 第1巻》の「前奏曲 第1番 ハ長調」をそのまま拝借している。

曲だけでなく、詩の方もラテン語の聖句「アヴェ・マリア」をそのまま用いており、グノーの創作部分は殆どない盗作のような作品だが人気が高く、チェロやヴァイオリンとピアノのための二重奏曲など、様々に編曲され演奏されている。

"カッチーニのアヴェ・マリア"(ヴァヴィロフのアヴェ・マリア)

1970年頃、ソ連の音楽家ウラディーミル・ヴァヴィロフ(Vladimir Vavilov 1925-73)によって作曲された歌曲である。録音も楽譜も、90年代前半まで知られていなかった。出典が明らかにされず、現在入手出来る出版譜は全て編曲されたもので、歌詞がただ「Ave Maria」を繰り返すだけである。

ヴァヴィロフは、自作を古典作曲家の名前を借りて発表する事がよくあったが、自身が共演しているIrene Bogachyova1972年の録音では「作曲者不詳」の『アヴェ・マリア』として発表していた。ヴァヴィロフの没後十年を経てCD録音されたMaria Bieshu(1996)やイネッサ・ガランテのデビュー盤(1994)では作曲者が"D. Caccini"と表記され、ジュリオ・カッチーニの作として広まった。

以上のような事実はCDや楽譜の楽曲解説では言及が無く、現在一般にはバロック時代の作曲家である「カッチーニの作品」と誤認されている
出典Wikipedia

0 件のコメント:

コメントを投稿