1890年(28歳頃)の作品で、単独の曲ではなく『ベルガマスク組曲(Suite bergamasque)』の中の第3曲である。
「ベルガマスク」とは、北イタリアのベルガモ地方の農民の生活という意味合いを持つが、このタイトル自体と作品が決定的に結びついているわけではない。
殆どピアニッシモで演奏される夜想曲で、優しく切ない曲想で有名。中間部の優雅な旋律は、教会旋法の一種ミクソリディア旋法が採用されている。
1905年に改訂版が出版された。ドビュッシーの初期作品であり、和声法や旋律の感覚およびピアノの書法に、グリーグ、マスネ、フォーレなどの先人の影響がまだはっきり認められるものの、曲の完成度の高さ、美しさはさることながら、一瞬たりとも違和感を与えずに情感豊かに仕上がっている。
印象派の初期の作品として、題材そのものを抽象的絵画のように捉えることが多いが、この曲は歌曲のピアノ曲化であり、中間部クライマックスの音の動きは水(噴水のような)の流れを表しているらしい。
ドビュッシーは、この曲から10年前に一連の歌曲を作曲した。これは、人妻ヴァニエに対する熱情から生まれ、とても18歳の青年とは思えぬほどの高いロマンティシズム、センチメンタリズム溢れる作品である。このヴァニエ夫人のための歌曲(36曲のうち20曲以上を夫人に献呈した)の中に、ヴェルレーヌの詩に曲をつけた『月の光』があった。そのため、このピアノ曲もヴェルレーヌの詩のイメージを無視することはできない、と言われている。
出典Wikipedia
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