『A高』の生徒会人事の仕組みは、学生の投票によって選出されるのは生徒会長のみである。そうなると会長を補佐する2名の副会長以下、書記及び会計各2名はどのようにして決まるのかと言えば、総て生徒会長が任命権を持っていた。
つまり、日本の内閣と同じ仕組みである。こうして人事全権を握った、御曹司タカミネ会長だったが
「副会長以下の人事は投票の総意を反映し、得票数に応じて順次、抜擢する」
という、いかにも彼らしい穏健な方針を打ち出した。仮にマザーが会長になって任命権を握ったなら、恐らくは選挙の得票数に捕らわれることなく、適任と思える人材を適材適所にはめ込んでいったに違いない・・・
それはともかくとして、第1回目の投票結果を以下に記す。なぜ、わざわざこんなものを載せるかの意味は、後々判明する。
1.御曹司
2.マザー
3.カトー
4.カオリ
5.淳子
6.茜
7.フクザワ
8.にゃべ
9.明日香
タカミネ会長の方針に沿えば
副会長:マザー&カトー
書記:カオリor 淳子
会計:茜&フクザワ
となるはずであった。
(ひゃー!
一つ間違えば、危うく組閣に組み込まれそーなとこだった・・・)
と胸を撫で下ろしたのは、あわや組閣の対象となるところだった、にゃべである。
ところが喜んだのも束の間、この後にあのような予想外の展開が待ち受けていようとは・・・
まず、マザーとカトーの副会長コンビはすんなり決まったが、書記のカオリが辞退を申し出たのが「波瀾の組閣人事」の幕開きであった。
「私は生徒会なんてガラじゃないし・・・」
と強い口調で詰め寄られ、お坊ちゃま会長は狼狽えた。
「これは・・・どうしたものか?」
と相談された副会長の2人。まず、ドライな性質のカトーが
「嫌がる者に無理に頼むのは、具の骨頂」
とバッサリ切り捨ててしまっただけに、頼みの綱はやはり「あの人」しかいない。
「あれだけの票を集めたのは、期待の表れじゃない?
それ、十分考えた上での結論なの?」
と直談判に及んだのは、言うまでもなくマザー副会長である。
「票が集まったのは、単にインターハイで名前が広まったからでしょ。生徒会の適性とは、全然関連性がないし・・・」
「私は、そーは思わんな。インターハイとか全国レベルで戦ってきた人ってヨシノさん以外にいないから、それに期待してのあの得票だと思うけど?」
「そうなら、感謝しないとね・・・でも現実問題として練習もあるし、他の活動なんてとても出来そうにないわ・・・」
事実、カオリの場合は体操部のエースというよりも、校内を見渡しても陸上部のみどりとともに、インターハイなど全国大会での活躍が期待できる貴重な逸材だけに、連日夜の9時、10時までの練習は当たり前という過酷な日々を送っていた。
その、予想を遥かに超えた過酷な実態を訊かされるに及び、さすがのマザーも
「確かに生徒会の方は、誰かに代わりが務まらなくはないけど、体操でヨシノさんに代われる人はいないからねー。さあ、どーするかね、御曹司?
じゃなかった、タカミネ会長?」
「う~む・・・これは、困った・・・」
こうしてカオリが辞退したことで、必然の結果として繰り上がりが発生してしまい
書記:淳子&茜
会計:フクザワ&にゃべ
という思わぬ事態が出来したわけだ (/||| ̄▽)/ゲッ!!!
(オイオイ、生徒会などは冗談じゃねーぞ・・・それも淳子や茜とのコンビならやってもいいが、いくら好感フクザワとはいえ男同士だなんて・・・)
いよいよ尻に火が付いた、にゃべ。
「オイオイ! そんなん、ありかよ!
だったらオレもサッカー部で忙しいから、とても活動などやってられんのは同じなんだが!」
と申し入れると
「アンタは地元で家も近いんだし、充分出来るでしょ!
それとも、インターハイに出て活躍でもするの?」
と、マザー副会長から皮肉たっぷりに却下される。女魁マザーが相手ではどうにもならないだけに、こうなればマザーが居ない時を見計らってタカミネ会長に直談判に行くのが得策だ。
「明日香やコンドーとは、たいした差がなかったぞ・・・我が校一の人気者や四天王の一角が、こうした重要な役から漏れるのはよろしくない」
「そんなへ理屈が通るかい・・・」
と、御曹司にも却下された。
なんといっても世間知らずの御曹司なら温厚そうだから、こっちのワガママも聞いてくれたり、嫌がるのなら外してくれるのでは? という期待はあったが
「色々と不満はあるかもしれんが、みんなに勝手なことを言われても困るんだよ。そこらへん、オレの身にもなって考えてくれんかな・・・」
と、御曹司の苦労を垣間見るようなことにもなってしまっては、無理のごり押しも難しくなった ( ̄_ ̄;) うーん
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