印象的なティンパニのクレッシェンドに導かれて登場する、冒頭のピアノの流れ落ちるようなフレーズは「悲劇」をイメージさせるBGMとして、テレビなどでもしばし使われるなど、非常に有名だ。これはグリーグの故郷ノルウェーの名物、フィヨルドの注ぐ滝の流れを表現したものともいわれる。
第1主題は、オーボエからチェロに引き継がれる素朴な形で現れる。このメロディは北欧民謡風であり、ピアノがしみじみと繰り返した後、軽快に推移する。チェロで現れる第2主題は、グリーグらしい「静かに歌うような」メロディで「北欧のショパン」と称される、グリーグの面目躍如たるものがある。
短い展開部では第1主題が扱われ、半音ずつ上昇させる形を取っている。オーケストラが主題を演奏するバックで、ピアノは分散和音で彩る。型どおりの再現部の後に、非常に長いカデンツァとなる。カデンツァの後に第1主題の一部を弦楽器が仄暗く奏で、Piu allegroのコーダに入る。コーダの最後でピアノが冒頭のフレーズを再現して終わる。
出典Wikipedia
かつてはチャイコフスキーやシューマン、またはベートーヴェンやラフマニノフら、同じ「四大ピアノ協奏曲」の中でも、グリーグのこの曲が一番好きだった。今は、どれが一番好きなのか自分でも分からないが、やはりこの曲かもしれない。どれも名作には違いないが、オープニングからエンディングまで約30分間に渡り退屈な部分がまったくなく、息つく間を与えない名作だ。北欧の清冽な自然を切り取って見せてくれるような、前編に渡るドラマティックな音楽が素晴らしい。
Classic音楽の作曲家といえば、西欧圏が圧倒的に多い。西欧だけでなく東欧、南欧とどこも有名作曲家が目白押しだが、そんな中「北欧」だけは何故か有名作曲家が極端に少ない。誰でも名前を知っている作曲家となると、フィンランドのシベリウス、ノルウェーのグリーグ、或いは少し知名度が落ちるがデンマークのニールセンくらいなものだろう。
グリーグのピアノ協奏曲は、シューマンのピアノ協奏曲と比較される場合が多い(LPレコード時代からCD時代まで、同じ盤に収められることが多いらしい) これは両者とも同じイ短調で書かれ、始まりの部分や作風がよく似ていることなどによるが、実際にグリーグはシューマンのピアノ協奏曲を1858年にクララ・シューマンの演奏で聴いていて、それに大きく影響を受けている。
0 件のコメント:
コメントを投稿