クラシック音楽ファンを対象に「自分が死んだときに流してほしい音楽」をアンケートすれば1位か2位に入ることは間違いない(対抗できるのは、モーツァルトのレクイエムくらいか)
とにかく美しい音楽である。弦とハープの分散和音にのって歌い出される第3曲、サンクトゥスの美しさは言うまでもなく、第4曲、ピエ・イェズの心に染みいるようなソプラノ独唱の素晴らしさは、一度聞けば絶対に忘れることの出来ない魅力に溢れている。
フォーレはフランス南部、ミディ=ピレネー地域圏のアリエージュ県、パミエで教師だった父の元に一女五男の末っ子として生まれた。一家にそれまで音楽家になったものはいなかったが、幼い頃から教会のリード・オルガンに触れるうちに天性の楽才を見出される。
フォーレは、パリの宗教音楽学校だったニーデルメイエール古典宗教音楽学校にて音楽の勉強をし、師であったルイ・ニーデルメイエールの死後、1861年に教師としてやってきたカミーユ・サン=サーンスにピアノと作曲を師事した。1865年に卒業したのち、旅行先のレンヌにて教会オルガニストの職を得た。
1870年、フランスに戻った時には、当時勃発していた普仏戦争において歩兵部隊に従軍志願している。後にパリのマドレーヌ教会でオルガニストとなり、1896年にはマドレーヌ教会の主席ピアニストに任じられ、またフランス国立音楽・演劇学校の教授にもなっている。1871年にはサン=サーンス、フランクらとともに、フランス国民音楽協会の設立に参加する。
父親の死後に作曲された『レクイエム』は、彼の代表作の1つとなった。オーケストラのユニゾンによる、重々しい主音で始まる。分散和音線を基調としたテノール、変ロ長調に転じた甘美なソプラノ、フォルティッシモの合唱と続く。キリエでは、やや律動的になる。「救憐唱」「憐れみの賛歌」とも。憐れみ深い神への賛歌、あるいは罪人が憐れみを乞う歌。唯一、ギリシア語による。通常文。東方教会で用いる「ヨハネス・クリュソストモスの聖体礼儀」のうち、冒頭などで用いられる「大連祷」を簡素化したものである。
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