ピアノソナタ第3番ロ短調 作品58 は、フレデリック・ショパンが作曲したピアノソナタ。
概要
前作が作曲されてから5年後の1844年に、ノアンにあるジョルジュ・サンドの住居で作曲され、翌年出版された本作は、ド・ペルテュイ伯爵夫人(Emilie de Perthuis)に献呈された。
本作が作曲された年にはショパンの父ニコラが死去し、その訃報に触れたショパンは悲しみのあまり2週間ほど重病人となったが、その約3ヶ月後に完成させている。
ロベルト・シューマンによって「無理やりくくりつけた」と評された前作とは打って変わって古典的構成美を特徴とし、曲想、規模ともに堂々たる大作である。ピアノソナタ全3曲の中、唯一終楽章を長調で締めくくっている(終結部分のみ)。
そして、その葬送行進曲から5年後に作品58のロ短調ソナタが書かれます。
ショパンにとって宿痾の病だった結核はますます悪化し、さらに父の死というニュースは彼にさらなる打撃を与えます。しかし、そんなショパンのもとを姉夫婦が訪れることで、彼は元気を回復し再び創作活動に取り組みます。この作品は、そんなつかの間の木漏れ日ような時期に生み出されたのです。
この作品の大きな特徴は、変ロ短調ソナタとは異なって、ソナタらしい有機的な統一感を感じ取ることができることです。しかし、音楽の規模はより大きく雄大なものになるのですが、しかしながら決してゴツゴツすることなく、その中にショパンらしい「美しさ」と「叙情性」がちりばめられています。
しかし、世間とは難しいもので、そのような伝統的なソナタ形式への接近ゆえに、リストなどは「霊感よりも努力の方が多く感ぜられる」と批判しています。
変ロ短調ソナタでは伝統からはずれることで有機的な統一性がないことを批判され、逆にロ短調ソナタでは有機的統一への接近故に、霊感の欠如と批判されます。
やはり、ダンテが言うように「汝の道を歩め そして人々をして その語るに任せよ」ですね。
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