2006/09/18

責任者(二度目の契約更新)part3

 ワタクシのこの推測は、間違いなく当たっているに違いなかった。そしてA氏の立場からすれば、そう考えるのは当然なのだろう。

x社が「ならば、現行条件で納まる技術者に変えろ」というバカげた事をいうのは、現場の事がまったく把握出来ていないからに尽きるし、それを見越して技術力を度外視すれば利益を追求する企業としては、そう考えるのもまた無理はないのだろう。

が、実際にそうなった場合に一番困るのは、現場責任者のH氏である事は明らかなのである。給料も安上がりに済みそうな若い技術者で、ワタクシと同等の技術レベルを備えた人物がいれば問題はないだろうが、これまで他社から出向してくる例を見ても、おいそれとそんな都合の良い人材が見つかるとは考え難かった。

ところで、その「責任者のH氏」とは、一体どんな人物か。
元々、今の現場にはワタクシが入った1年前よりもさらに2年半ほど前から居たというから、ここまでトータルで3年半以上と今やリーダーN氏(約5年前の構築時から、唯一の生き残り)に次ぐ古株となっていた。もっとも、ワタクシが入った一年前はまだ責任者ではなく、管理的な立場で当時の責任者だったS氏を補佐するような役回りだったが、半年後くらいにS氏に代わり責任者に昇格した(S氏は本部に戻る)

歳は30代半ばとまだ若いが、元々今の現場では唯一の本部の人間だから既定の路線であり、H氏自身もSE出身だけにスキル的にもかなり高いばかりでなく、勉強家でもあったため幅広い知識を持っていた。また人間的にも、真面目を絵に描いたような非常に温厚な人物で、技術者からの信頼は厚かった。ところがご多分に漏れずというべきか、このH氏もワタクシとだけはなぜか、最初からまったくソリが合わなかった。

 かつて後輩と呑みに行った際に

「オレはH氏とは、相性が悪いからな・・・」

と言ったところ

「そもそもにゃべさんは、今まで現場責任者とか上司と相性の良かった事ってあったんですか?」

と即座に返して来たように、恐らくは間違いなくワタクシの方に問題があるのだろう事は、薄々自覚していたが。

H氏が、ワタクシを煙たがっている理由は明快だ。H氏としては歳は若いといっても自分が責任者であり、また本部から出向して来ているという自負があるのだろうが、ワタクシの方では技術的には自分の方が上なのだという自負に加え、歳よりもさらに若く見えるH氏の顔を見て話をすると、どうしても意図せずに見下ろすような口調になってしまうらしいのである。

思えばH氏に対して、敬語を使うような事は殆どなかった。元々、ある程度注意して敬語を使って話す相手は、第二責任者でN社マネージャー(40台後半)と、クライアント社であるNx社マネージャーで、現場リーダーN氏(40台前半)の二人に限られた。とはいえ、ただ敬語を使わないという事だけで、H氏がそこまでワタクシを煙たがっているわけではなく、もっと大きな理由はワタクシが遠慮会釈なく、物事をズバリと言うからにほかならない。早い話が責任者のH氏といえど、判断がおかしいと思えば遠慮なく批判するのであり、これまで誰もが遠慮して接して来ていただけに、H氏としてはここまで無遠慮に扱き下ろされる事自体に、戸惑いが大きかったと思われる。

無論、ワタクシもそれは承知しているのだが、そこは技術者のサガと言うべきか、特に技術的な間違いは指摘しないと気が済まないし、思うように理解が得られない場合はつい、激烈な口調になってしまうのは性格的に直らないのであって、決して嫌がらせのような意図はない。

一例を挙げれば・・・
 
「にゃべさん・・・SunOSSolaris)で報告されている脆弱性の問題なんだけど・・・該当するサーバがあっても、F/Wで守られているから大丈夫なんでしょ?」

「サーバはそうだけど、F/W自体は?」

「これってF/W自体も、問題になるんだっけ?」

「当然じゃん・・・F/W自身は、誰かに守られている?」

「う・・・確かに・・・  そこは無防備だと言う事?」

「だったら、このケースはSunF/Wだけが問題と考えるべきでしょ」

といった具合で、日頃は意識せずに話しているからなかなか気が付かないが、こうして文字で書いた物を見てみると、確かに責任者との会話と言う感じではない。実際に、かなり時間が経ってから

(あのときの件は、最初ににゃべさんが指摘されていた通りでした・・・)

などと、メールで謝罪して来た事も度々あった。

もっともいくら性格とはいえ、ワタクシがもしもこの現場に愛着を感じていて、今後も長くい続けたいと願望があれば、自然と幾らかの遠慮は出てくるものなのだろうが、幸か不幸か

(こんな現場は、いつ辞めてもいいんだ・・・)

という、どうでもいいといった気持ちが根底にある事が、その言動の遠慮のなさに益々、拍車をかけているかも知れなかった。

また細かい事を言えば、生真面目な性質のH氏にとっては、例外なく毎日のように(意図的に)遅刻をしてくる上に、有休も遠慮なく使うワタクシのようなタイプは、最も嫌うところなのだろう。

ところが皮肉な事に、このH氏とワタクシは斜向かいの席に位置しているのが、話を余計に厄介にしている。H氏の方は、明らかにワタクシとは目を合わせないように、常に向こう側の斜め下を向いて沈鬱な表情で俯いていた。それでもワタクシの事が気になる様子で、あたかも「理解不能な、珍しい生き物」でも見るかのようにして、時折チラチラと上目遣いに様子を探って来るのも気に喰わなかった (-ω-#)y-~~~~

0 件のコメント:

コメントを投稿