2007/07/13

ヤナーチェク 狂詩曲《タラス・ブーリバ》

 


1曲「アンドレイの死」

 アンドレイは、コサックの首領タラス・ブーリバの次男でありながら、ポーランド人の将軍令嬢と恋に落ちる。冒頭のコーラングレーとオーボエ、ヴァイオリンによる情熱的な旋律は、恋人同士のロマンティックな情感を示唆している。

 

 いたるところで影を孕んだ楽曲は徐々に不穏になっていき、ポーランド軍とコサック軍との戦闘を描写する。怒れるトロンボーンは咆え、鐘は鳴り、トランペットは勝ち誇って叫ぶ。

 

 アンドレイはポーランド軍に加担するが、自分の寝返りを知った父親と接戦し、投降するとその手にかかる。曲末で愛の場面の音楽が短く回想される。

 

2曲「オスタップの死」

 タラス・ブーリバの長男は、弟アンドレイの死に悲嘆に暮れているうちに、戦場でポーランド軍の捕虜となり、ワルシャワに連行され拷問の末に処刑される。タラス・ブーリバは変装してワルシャワに潜入するが、息子の最期を目の当たりにし自分の居場所を忘れ、息子に向かって呼び掛けてしまう。

 

 曲の殆どは、無感情で不恰好な行進曲である。曲末での猛々しいマズルカは、ポーランドの勝利を示唆する。

 

 タラス・ブーリバは暗いトロンボーンの音色によって演じられ、オスタップの断末魔は甲高いクラリネットによって再現される(後者の表現は、ベルリオーズの《幻想交響曲》やリヒャルト・シュトラウスの《ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら》の断頭台の場面に比すべきものである)

 

3曲「タラス・ブーリバの予言と死」

 コサック軍は、オスタップの仇討ちのために死に物狂いでポーランド中で転戦する。とうとうタラス・ブーリバがドニエプル河畔で捕らえられるが、ポーランド軍によって火炙りにされる前に挑発的な予言を口走る。

 

 曰く

 

  「コサックが、この世に恐れるものなどあるものか。待ちやがれ。

 ロシア人の信仰心が、どんなものか思い知る日が来るだろうよ。とっくに、あちこちの人間が承知しているさ。

ロシアの地からツァーリが立てば、それを脅かすような力は起こりやしないってことを」

 

 開始の音楽は、軍楽や(再びトロンボーンによる)タラス・ブーリバの雄叫びの声に溢れているが、静かなパッセージになってブーリバの捕縛を描写する。予言そのものは金管楽器とオルガンの煽情的なパッセージで描写され、鳴り響く鐘と誇らしげなエピローグによってクライマックスに至る。

 

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 『タラス・ブーリバ(隊長ブーリバ)』は、ヤナーチェクが1918年に作曲した管弦楽曲。

 ニコライ・ゴーゴリの小説『タラス・ブーリバ(隊長ブーリバ)』に基づく標題音楽であり、ヤナーチェクの最も表現力に富んだ作品に数えられる。

 「国民を防衛するわれらが軍に」献呈された。

 

 初稿は191572日に作曲したが、その後ヤナーチェクは改訂して抜本的な変更を加えた。ほぼ現行版に近づいた第2稿は、1918329日に完成され、1921109日にブルノの国民劇場における演奏会で、フランティシェク・ノイマンの指揮により初演された。

 

 1924年に、ブジェティスラフ・バカラの編曲による4手ピアノ版が出版された。総譜は更なる改訂を施され、1927年に出版された。

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