まずミスターのパーソナリティで、最もミスターらしいところといえば、この「
ド外れた物忘れの達人」という点に尽きるでしょう。
1.「二オカ、打たなくて良いぞー!」事件
上原ルーキーの年の話です。この年ルーキーながら、20勝を上げるという破竹の快進撃を続け最多勝、沢村賞を始め投手タイトルを総ナメにした上原。同じドラフトで、この上原に続く2位に指名されたのが、ショートの二岡でした。
「二オカは、将来クリーンアップを打てるような逸材だよ。久々の大型ショートストップだ」
と当初から、ミスターは絶賛しておりました。そして八面六臂の大活躍を見せた上原の蔭に隠れはしたものの、ショートとして1年目から、まずまず期待通りの活躍をしたのが、この二岡でした。
その年のシーズンも終盤に入り、球場には時折冷たい秋風が吹く消化試合の時期を迎えた頃の事です。点差の開いた展開で、この日も好投を続けていた上原に、打順が廻って来ました。通常こうしたケースのピッチャー打者は、怪我をしないようにベースから遠く離れてただボーっと立っていれば良いところですが、ルーキーでありまたバッティングの好きな上原だから、欲を出して打ちにいって怪我をされてはと気を廻したミスターが、ベンチからバッターボックスの上原に大声で怒鳴ったまでは良かったのですが・・・
「オーイ、ここは打たなくていいからなー。打たなくて良いぞー、二オカー!」
ルーキーながらそこそこの働きを見せ、すっかり皆から名前も憶えられて来たと思っていただろう、ミスターの隣に座っていた二岡選手の胸中に、冷たい隙間風が吹き込んできたであろう消化ゲームのヒトコマでした(*´m`)
2.勝手に人名創作
自軍の選手の、しかもバリバリのレギュラークラスの名前すら満足に憶えているかどうかも怪しいミスターだから、他チームの選手の名前に至ってはかなりシッチャカメッチャカであったりします。2003年に圧倒的な強さで、リーグを制覇した阪神のゲームでゲスト解説に招かれたミスターは、例の甲高い口調で阪神の強さを分析していました。
「(前略)・・・それと、今年の阪神は他チームから移籍してきた選手が良く働きましたねー。バッターボックスに入るカタオカ然り、そしてピッチャーで言えば『イラベ』然り・・・」
え? イラベ?
そんなヤツいたっけ? ( ´艸`)ムププ
3.堀内投手牽制暴投事件
ミスターが現役時代の話で、マウンドにはエースの堀内投手が三塁にランナーを背負ったピンチという場面。サードのミスターが、堀内投手の所へと駆け寄り
「オイ、ホリ! 三塁ランナーのリードが大きいから、オレの方を良く見ていろ。オレが帽子の庇にさりげなく手をやったら、牽制のサインだからな・・・」
と、耳打ちしていきました。
当時のミスターいえば、いうまでもなく後輩から見れば神様みたいな存在ですから、さしものやんちゃな悪太郎といえど「わかりました!」と素直に頷くと、改めてセットポジションに入ります。そこでサードに眼をやれば、早速ミスターが帽子に手をやっていました。
堀内投手は言われた通りに素早く牽制をしますが、何故か当のミスターは知らぬ顔で棒立ちのままだったからたまらない。悪送球となったボールは、転々とファウルグラウンドに転がっていき、その間にサードランナーは労せずしてホームへ還り、手を叩いて悦んでいます。
すると、どうしたことでしょうか。
すかさず血相変えたミスターが、鬼の形相で脱兎の如くマウンドに駆け寄ってくるや
「コラ、ナ二やってんだ、オマエは! 勝手に牽制など投げるんじゃない!」
と怒鳴り始めたから、たまらない。これには、さすがに悪太郎も激怒し
「だって長嶋さんが帽子をさわったら、牽制しろって言ったんじゃないですか!
サイン通り投げたんだから、ちゃんと捕って下さいよー」
とクレームを付けた事は、言うまでもありませんが
「バカを言うな! オレは、そんな事を言った憶えはない!」
と、当のミスターは平気の平左でどこ吹く風とばかり、まったく取り合ってくれません。
結局、記録的には「堀内投手の悪送球」として処理され、哀れ悪太郎はこの「悪送球」が痛恨の決勝点となって、敗戦投手の憂き目を見る事になってしまったのでした
(T▽T)