2005/06/29

ホルスト 組曲『惑星』(火星)

 

かつて教育テレビの「N響アワー」という番組に、宇宙飛行士のM氏がゲストで出演していた。その人は初めて宇宙に行った時に、真っ先に頭に浮かんだのがホルストの組曲『惑星』であり、その時の心境を

 

「ホルストという人は、本当は宇宙に行ってそこの景色を見て来たのではないか・・・としか思えないくらいに、イメージ通りの音楽だ」

 

といった表現で、作曲家の完璧なまでに見事な描写力を絶賛していた。

 

が、これはズバリ、M氏の認識不足であるとしか言いようがない。天才、若しくは一流とまでいわれる芸術家の能力こそは、殆ど超能力といっても良いだろう事は歴史上の数々の傑作が証明しているのである。

 

さて、そのホルストの『惑星』という曲は、別に宇宙などは知らなくとも、音楽そのものだけで充二分に楽しめるエンターテイメントである。元々が、吹奏楽を得意としていたイギリスの作曲家ホルストが、突如としてこの大規模な組曲に取り組む切っ掛けとなったのは東洋占星術に凝り始めたためで、時は第一次世界大戦真っ只中の頃の話である。

 

この組曲は

・第1曲 火星、戦争をもたらす者(Mars, the Bringer of War

・第2曲 金星、平和をもたらす者(Venus, the Bringer of Peace

・第3曲 水星、翼のある使者(Mercury, the Winged Messenger

・第4曲 木星、快楽をもたらす者(Jupiter, the Bringer of Jollity

・第5曲 土星、老いをもたらす者(Saturn, the Bringer of Old Age

・第6曲 天王星、魔術師(Uranus, the Magician

・第7曲 海王星、神秘主義者(Neptune, the Mystic

 

という7つの曲から成っており、組曲が完成した後の1930年に発見された「冥王星」は、当然の事ながら含まれていない。

 

火星、戦争をもたらす者 原題:Venus, the Bringer of Peace

日本では「木星」に次いで、よく知られている曲である。第一次世界大戦の頃の作品のため、その時代の空気が反映されていると指摘されることがある。不明確な調性、変則的な拍子など、ストラヴィンスキーの『春の祭典』からの影響が大きいといわれる。再現部の第2主題と第3主題の順序が入れ代わっているが、ソナタ形式に相当する。

 

「ダダダ・ダン・ダン・ダダ・ダン」という5拍子のリズムを執拗に繰り返す。 このリズムは木製のマレットでティンパニ、弦楽器のコル・レーニョとハープで演奏される。提示部第3主題でのテナーチューバ(ユーフォニアムで演奏されることが多い)のソロが、オーケストラにおけるこの楽器の秀逸な用例としてしばしば言及される。

出典Wikipedia

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