18年間住み慣れた地元を離れ京都へやって来たにゃべ。
何をおいても、まずは住むところを探さなくてはならない。大学に近い不動産屋を、何軒も廻って探し歩いた。いわゆる学生アパートや寮などの環境の悪そうなところは敬遠し、一般向きのマンションがターゲットであった。
人一倍デリケートなタチだけに、なにより騒音とプライバシーには殊のほか気を遣うのだ。幸いにして、家賃は仕送りとは別に実家の方で振り込んでくれるだけに、多少家賃が高くてもセキュリティとプライバシーのしっかりした住居が条件だった。
「ここいらでそんだけの条件となると、かなり家賃も高うなってきまっせ。ある程度は妥協してもらわなー、学生はん。この辺は、学生向けのお値打ち物件が多いんやけどな・・・」
と諌める不動産屋のオヤジを彼方此方と引っ張りまわし、何軒かの物件を慎重に観て廻った。だが当然の事ながら、気に入った物件は家賃が予算オーバーし、逆に予算に余裕で収まるようなアパートでは、希望条件は満たせない。
「北大路付近らはちーとばかし立地がよーなりまっさかい、家賃も高うなるわな。学生はんが多い出町柳辺りやったら、お手頃のが仰山あるんやけどな・・・」
「出町柳じゃあ、あまりにもキャンパスから近すぎるなー」
「え?
ちゅーことは、あんさんX大に入られなすったんか・・・ほーほー」
『X大』と分かった途端に急に言葉が丁寧になる辺りから、さすが京都において『X大』がいかに尊敬を集めているかがわかろうというもので、ちょっと気分がいい。
「そやそや。出町柳でも学生向けの物件やなしに、ええのがあったな・・・」
と案内されたのは、出町柳とはいえキャンパスから少し距離のある、比較的小ぎれいなマンションだ。
(ふむ。贅沢を言っていてはキリがないし・・・これならまずまず合格かな)
と、ようやく満足できる物件に納得し、早速入居の手続きを済ませると、当面の生活に必要な最低限の荷物だけを運び込んで引越しは完了。
ここに京都における、にゃべのキャンパスライフが幕を開けた。
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