「そこへ掛けたまえ・・・」
と、向かいのソファを勧める仕草をした。
「なぜ、君だけを呼んだかわかるかね?」
(そりゃ言うまでもなく、タヌキが私の天才を見込んでの事でしょう・・・)
という本音は飲み込み
「いや全然・・・サッパリ心当たりがありませんが・・・」
などと、空トボケテ見せると
「先の社長の訓示だ・・・君は、さっきの私の話を聞いてなかったのかね?
社長は、一目で相手の心を見抜く天才だという話を・・・」
社長は、一目で相手の心を見抜く天才だという話を・・・」
「はあ・・・
まあ一応、訊いてはいましたが・・・一応ね」
まあ一応、訊いてはいましたが・・・一応ね」
「社長が、大変に気を悪くなされたようだ。
『一人だけ、まじめに話を聞いてない者がいるがあれは何だ』
と、私がこっ酷く叱られたよ」
と、ジロリといやらしい眼つきで睨むと
「キミは、社長の話を疑いながら聞いていたろう?
疑いを持って話を聞いているところまで、見抜かれていたぞ・・・」
疑いを持って話を聞いているところまで、見抜かれていたぞ・・・」
(それくらいは、よほど鈍感でなければわかるだろう・・・)
と、腹の中でせせら笑いつつも
「はあ、そうですか・・・」
とだけ答えた。
「なぜ、私の話を疑った?
キミ以外はみな、真剣に聞いていたんだ・・・なぜ、私の話を信じなかったのかね?」
キミ以外はみな、真剣に聞いていたんだ・・・なぜ、私の話を信じなかったのかね?」
そろそろ
(なんでこんなクダラン事で、わざわざ呼び立てられなければならんのか?)
と、次第に腹立たしさが込み上げて来た (" ̄д ̄)けっ
こうなると、幸か不幸かおとなしく収まらないのが持って生まれた性分だ。
「なんで、とか言われてもね・・・私の心の持ちようにまで、異議を唱えられるのは心外ですが・・・」
「なにを?」
「あのヒトラーでさえ物質的な酷い強制はしたけど、思想や心情、宗教といった精神的な自由までは奪わなかったはずですがね。
てことは、ヒトラー以上の独裁者?」
てことは、ヒトラー以上の独裁者?」
「ヒトラーって・・・なんで、そんなものを持ち出すんだね?
それは話が違うだろう、君・・・」
それは話が違うだろう、君・・・」
ややうろたえたような感じだったが、直ぐに立ち直ると持ち前の尊大さを見せながら
「私は忙しい。
キミと、くだらない議論をしているヒマはない!」
キミと、くだらない議論をしているヒマはない!」
と、強い調子で言った。
「自分から呼びつけておいて、よく言えますね・・・」
「なんでそう、イチイチ理屈をこねるのかね・・・もっと、虚心坦懐に人の話を素直に聞けないのか。
言っておくが私は名古屋支店長なのだ。
本来なら、オマエのようなチンピラと話をする立場じゃないんだぞ」
「なんだって?
アンタが呼んだから、仕方なく来てやったんじゃないか!
たかが支店長風情が、偉ぶるのは大概にしてもらいたいわ」
アンタが呼んだから、仕方なく来てやったんじゃないか!
たかが支店長風情が、偉ぶるのは大概にしてもらいたいわ」
と、しばし睨み合いとなった。
「そもそもですが・・・いちいちそんな細かい事で気分を悪くするような、そんな程度の人物じゃあ、あのアリガタイ教祖サマもロクなもんじゃないんでは?」
「ウヲッホン」
と、支店長はもったいぶった咳を一つして
「キミも、イチイチ失礼な男だな。
一体、君はこの仕事に真面目に取り組もうという気持ちがあるのかね?」
一体、君はこの仕事に真面目に取り組もうという気持ちがあるのかね?」
「まあ、最初はそのつもりでしたがね・・・正直、三日目くらいから虚しくなって来たというかね。
みんな胡散臭いとかボロクソに言ってますが、支店長として実態をご存知なのでしょうか?」
みんな胡散臭いとかボロクソに言ってますが、支店長として実態をご存知なのでしょうか?」
この際、開き直って全ての不満をぶちまけてやるのだ!
「とにかくだ・・・キミのような万事に付けて疑い深い不真面目な人間には、このシビアなミッションは到底やり遂げられん、というのが私の結論だ!
本日、この場限りで解雇する!!
以上!!!」
というと、相手はテーブルを叩くような勢いで、宣言するかのように立ち上がった。
「オレだって、こんなクソ会社は肌に合わんと思っていたところだったし、ちょうどえーわ。
こんなインチキくさい商売の片棒担がされるのは、こっちからも金輪際お断りさ」
こんなインチキくさい商売の片棒担がされるのは、こっちからも金輪際お断りさ」
「インチキくさいとは何だ、貴様!」
「実際、インチキそのものだろーが」
などと支店長と、あわや掴み合いにならんばかりの激しい口論は続いた
;(;(;*;゚;∀;゚;);););ノ゙アーッヒャッヒャッヒャッヒャァー
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