ロドリーゴは、幼児期に失明したにもかかわらず芸術家として大成した。
数々の作品を通じてクラシック・ギターの普及に功があったとされ、とりわけ《アランフエス協奏曲》はスペイン近代音楽ならびにギター協奏曲の嚆矢とみなされている。本人はピアニストであり、ギターは演奏しなかった。
曲は3楽章からなり、特に第2楽章はその哀愁を湛えた美しい旋律で広く知られる。古典派以来、一般的な協奏曲は第1楽章が最も長いものであるが、この作品は緩徐楽章である第2楽章が最も長い。
ロドリーゴは、スペインの古都アランフエス(マドリード県南部にある都市で、宮殿が有名)が作曲当時のスペイン内戦で被害を受けたことから、スペインとアランフエスの平和への想いを込めて作曲したと言われている。
第1楽章の主題は、1978年作のギター曲『トリプティコ』の第3曲「スケルツィーノscherzino」に転用されている。なお、これはある程度ギター協奏曲全般についていえることであるが、クラシック・ギターの音量が小さいことから、オーケストラが音のバランスに苦労することでも知られる。このためオケの音量を下げたり、ギターにマイクロフォンを置くこともある。
国内の音楽学校でピアノと作曲を学んだロドリーゴは25歳でパリに留学し、当時フランス屈指の作曲家だったポール・デュカスに師事。さらに34歳からの3年間は、ドイツで暮らした。彼の作品がスペイン的カラーを色濃く持つ一方で、インターナショナルな現代性をも感じさせるのは、そんな国外での体験が影響しているのかもしれない。
そのロドリーゴの作品中、最も有名なのが、この曲である。アランフェスとはマドリード州南方の地名で、かつてはスペイン王族の避暑地として栄えた土地である。1940年のバルセロナでの初演は大成功を収め、ロドリーゴは一躍、一流作曲家の仲間入りを果たした。
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