2005/07/03

京都のお嬢

 カリスマサギ学生のマサムネとすっかり意気投合したにゃべだったが、ラウンジで常にアイドル的な存在として君臨していたのが美和であった


 といってもこの春入学したばかりで、にゃべと同じ1年生だ。彼女は、京都・西陣では知られた老舗呉服商の一人娘という筋金入りの「京女」、そしてまた誰もが認める色白の京美人でもある。

 「京都で代々続く老舗呉服商の箱入り娘」などと聞くと、よそ者のにゃべなどは筋金入りのおしとやかな「ヤマトナデシコ」を連想してしまうが、実際の美和はまったく正反対と言っていいくらいのトンデモなオフザケキャラであった。

 あの異様なまでのテンションの高さは、奇人変人揃いだった『A高』で言えば、太陽のような天真爛漫な明るさで超人気者だった、あの明日香に近いキャラといえた。が、そうした彼女の「本性」が判明するのは勿論少し後のことで、初対面からしばらくは、あの「おしとやか気な美少女顔」にすっかり騙されていたくらいで、色白の美形は好みのタイプにピッタリマッチした存在であったのは間違いない。

 今や、すっかり心を許したマサムネに

 「あの美和って女、すっかり特別扱いじゃねーの?」

 と訊くと

 「うん・・・あれは、老舗の呉服屋の娘やし、京都じゃ、ちーとばかし知られた家柄らしいやな。オフクロはんは、華道やら茶道の家元とやらやし、ごっつう有名らしいで。こないだもTVに出とったしな。ごっつやり手やそーやで」

 とさすがに事情通らしく、例によって立て板に水の如く捲くし立てた。

 「でも、確かにカワイイんじゃねーか?」

 と水を向けると、意外にもシニカルな笑みを浮かべたマサムネは

 「まあオレは、ちーとばかしタイプがちゃうがな。顔は可愛いけど、ありゃどー見ても痩せ過ぎやて。さっきゆーたアイツのおっかさんのせんせは、娘の美和がなんであないブスヤねんちゅーくらい、めっちゃ綺麗なんやがな」

 「まじでか・・・」

 あの可愛らしい顔の美和が「ブス」だとは、一体どんな美人なのかと考えていると、その心を読んだようにニヤニヤ笑いを浮かべたマサムネは

 「まあ、そのうちにオマエもお呼ばれがあるやろう・・・この前の感じやと、美和はオマエに満更でもなさそーやったしな・・・」

 なにしろ、この男の話は驚かされることばかりなのだ。この調子の良い男に担がれている気がしないでもないが、なんといっても魅力のある男だから、信頼して寄りかかりたくなる気持ちもあった。

しかしながら、まだ正体が見極めきれないだけに、最初の出会いを思い出して警戒を怠るなと自戒していると、あたかもこちらの考えを読んだかのように

 「こないだ、アイツにオレのこと気ィーつけーやら、まるで詐欺師みたいに言われた腹いせやあらへんが、アイツこそあんな顔しとるがトンと食わせもんやでな。あれで、魔性の女ちゅーかいな。ようよう気ィーつけーなアカンな。ま、どっちゃにしろ、今度オマエを大阪に連れて行く時は、オレが女の引っ掛け方ちゅーもんをを教えたるがな」
 

 と自信たっぷりに、不敵な笑いを笑った (`m´+)ウシシシ

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