2005/07/20

J.S.バッハ 幻想曲とフーガ ト短調(Fantasy and fugue in G minor)BWV542

 


前奏曲とフーガ ホ短調やパッサカリアとフーガ ハ短調と並んで、バッハのオルガン曲を代表する最大傑作のひとつである。

 

この作品は、バッハがケーテン宮廷楽長をしていた1720年、ハンブルクの聖ヤコビ教会オルガニストのポストが空席となり、バッハがその職に応募してハンブルクに赴き、そのオーディションを受け、北ドイツ・オルガン楽派の老大家ヨハン・アダム・ラインケンほか、2名の試験官の前で演奏した作品とされている。ラインケンはバッハの演奏の見事さに感服したと伝えられているが、このポストに就くには多額の寄進をしなければならない規定があり、バッハはこのお金を寄付しなかったため、結局この職に就くことはできなかった。

 

幻想曲は、ヴァイマル時代には既に作曲されていると考えられ、フーガは1720年にハンブルクで作曲されたと考えられている。なお、フーガのテーマはラインケンに敬意を表して、当時よく知られたオランダの民謡からとられた。

 

作品に示された大胆な独創性は、バッハの作品中でも特にユニークなものとして注目を集めており、そこでは即興性に富んで不協和音を含む激烈な表現、画期的な和声の性格、斬新な転調の可能性などに、時代の通念を遥かに超えたバッハの才能がはっきりと浮き彫りにされている。

 

この作品は、エルガーやストコフスキーによるオーケストラの編曲、リストによるピアノ用の編曲でも親しまれているが、フーガの部分を独立させたストコフスキーの編曲版は聴く機会が多い。またオルガン曲「小フーガ ト短調 BWV578」と同じ調性を持つため、両者を区別して「大フーガ」と呼ぶようになった。幻想曲は情熱的なもので、冒頭部分は活力に溢れフーガは美しく書かれている。

出典 Wikipedia

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