2005/07/31

ワーグナー オペラ『タンホイザー』(3)

 


3

舞台はヴァルトブルク城近くの谷。タンホイザーが旅立ってから月日が経ち、エリーザベトはタンホイザーが赦しを得て戻ってくるようにと、毎日マリア像に祈り続けている。

 

ちょうどローマから巡礼の団体が戻ってくる。エリーザベトは、その中にタンホイザーの姿を探すが、彼はいない。ついにエリーザベトは自らの死をもって、タンホイザーの赦しを得ようと決意する。見かねたヴォルフラムは説得を試みるが失敗し、彼女は去っていく(「夕星の歌」)

 

その場に一人残されたヴォルフラムの前に、ぼろぼろの風体のタンホイザーが現れる。ローマに行ってきたのかと尋ねるヴォルフラムに対し、彼は巡礼の顛末を語りだす。タンホイザーは幾多の苦難を乗り越えてようやくローマに到着し、教皇に赦しを乞うたのだという。しかし教皇は「罪はあまりにも重い」として彼を赦さず「私の杖が二度と緑に芽吹くことがないのと同じく、お前は永遠に救済されない」と破門を宣告したのだという。

 

絶望のあまり自暴自棄になったタンホイザーは、再びヴェーヌスベルクに戻ろうとしてさまよい、そうしてヴォルフラムに出会ったのだった。タンホイザーの呼びかけに応じてヴェーヌスベルクが現れ、ヴェーヌスが手招きする。ヴェーヌスへ引き寄せられていくタンホイザーを、ヴォルフラムは懸命に引きとめる。そこへエリーザベトの葬列が現れる。タンホイザーは我に帰り、異界は消滅する。エリーザベトが自分の命と引き換えに、タンホイザーの赦しを神に乞うたことをヴォルフラムが話すと、タンホイザーはエリーザベトの亡骸に寄り添う形で息を引き取る。そこへローマからの行列が緑に芽吹く教皇の杖を掲げて到着し、特赦が下りたことを知らせて幕が下りる。

 

オペラのストーリーというのは、男の身勝手というものが前面に出ているものが多いが、その最たるものがワーグナーであり、中でもとりわけ酷いのが、このタンホイザーのストーリーと言える。

0 件のコメント:

コメントを投稿