組曲『惑星』は、ホルストの代表曲としてホルスト自身の名前以上に知られており、近代管弦楽曲の中で最も人気のある曲の1つである。
イギリスの管弦楽曲を代表する曲であるとも言えるが、むしろイギリス音楽とは意識されず、その枠を超えて親しまれている曲である。ただし、特殊楽器の多用や女声合唱の使用などが実演の障壁になることも多く、全曲を通しての演奏の機会は必ずしも多いとはいえない。
また『惑星』という題名のスケールの大きさに惑わされて、実体とかけ離れてあまりに過大評価されすぎる傾向にあるとする意見もある。
この作品は惑星を題材としているが、(天文学ではなく)占星術から着想を得たものである。地球が含まれないのは、このためである。
西欧ではヘレニズム期より惑星は神々と結び付けられ、この思想はルネサンス期に錬金術と結びついて、宇宙と自然の対応をとく自然哲学へと発展した。この作品は、日本語では『惑星』と訳されてはいるが、実際の意味合いは「運星」に近い。
それぞれの曲の副題は、かつては「・・・の神」と訳されていたが、近年では本来の意味に則して「・・・をもたらす者」という表記が広まりつつある。
かねてよりホルストは、作曲家アーノルド・バックスの兄弟で著述家のクリフォードから占星術の手解きを受けており、この作品の構想にあたり占星術における惑星とローマ神話の対応を研究している。
『惑星』は、ホルストの最も知られた作品ではあるが、作曲者自身はこれを佳作の1つとして数えてはおらず、他の作品が尽くその影に隠れてしまうことに不満を洩らしていた、といわれている。ただ自身何度かこの作品を指揮してもおり、また「土星」は気に入っていたという。
土星、老いをもたらす者
原題:Saturn, the Bringer of Old Age
組曲中、最も長い曲。
調性は淡いハ長調で、ハ音上の付加六の和音や七度の和音が多用される。ホルスト自身この曲が最も気に入っていたといわれ、組曲中でも中核をなす曲と考えられる。
天王星、魔術師
原題:Uranus, the Magician
スケルツォに近い曲。主に6拍子で、デュカスの『魔法使いの弟子』に影響を受けたといわれる。また、冒頭の印象的な4音(下譜面を参照。G, Es, A, H)は、ホルストの名前(Gustav Holst)を表していると言われ[誰によって?]、曲中にも執拗なまでに取り入れられている。
海王星、神秘主義者
原題:Neptune, the Mystic
出典Wikipedia
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