2005/07/12

モテ男

 (あと数ヶ月で19歳。18歳のうちに初体験を済ませておけたのは良かった・・・)

 

  まだ興奮冷めやらぬ状態を横の運転席に座るマサムネに悟られまいと平静を装っていた。なんといっても、こういった事にかけては百戦錬磨のマサムネの眼は、やはり節穴ではないようだ。


  「オイ、にゃべ!
  オマエ、初めてやったんか?」


  「まさか・・・そんなわけねーだろ。まあオマエと違って高校までは、硬派なサッカー少年だったのは事実だが・・・」


 「ワハハハハ・・・信じらへんわ。最初見た時から、そこそこ遊んでぇきよったやうに見えたけどな。
 人は見掛けにらんもんや ァ'`,'`,'`,'`,() '`,'`,'`,'`,'`,、」


 すっかりお見通しの様子のマサムネは、痛快に笑い飛ばしていた (≧∇≦)ブァッハハ!

 

「ちっ、バカにしやがって!
  そういうオマエの方は、確かにかなり経験豊富なようだが、一体どんだけ経験してきたんだ?」


  「オレは、数えた事ねーわ。まあオレも、そないに大した事はねーがな」


 などとアッサリと言ってのけるマサムネが、急に偉大に見えてきた。


 「しかしな・・・正直、オレはあんなナンパみたいなのは、やった事がなかったからな。 あんなにスムーズに運ぶとは驚いたよ」


 「そりゃな・・・あーいうんは《魚心れば水心》ってヤツや。最初にオマエが眼ぇ付けた女な、あーいうんはその気があらへんから、なんぼ口説いてもあかんわな。そこへいくと、あの2人は『誘い待ち』が、見え見えやそーやで。要は、ナンパってんは口説きのテクニックも必要やが、そーゆーんは二の次やて。まずは相手の欲求を見分けるんが、最大のコツや」


 「しかし、オマエくらい口が達者なら失敗はなさそーだよな?」

 

「いや、そないなもんやない・・・オレみたいになんぼ口が巧くたって、最初のころは逃げられてばっかりやったしな。そーやって、散々恥を掻いた結果


  『コイツはいける!

これはアカン!』
 ちゅーのが、勘でわかるようになってくるンやて。自慢やないが、今は打率8割以上ちゃうやろか。当然オレ自体の魅力ってのもあるが、それ以上にこれまでマメに場数を踏んで来た成果やな」 


 俄かに始まった、マサムネの「ナンパ講義」。話の内容になるほどと納得はするものの、とてもそれだけの根気はない。


 ところでそんな2人にとって、思わぬハプニングがあった。

2人連れの相手はポッチャリ型と細身型で、ポッチャリ型の方が賑やかな性格に対し、細身型の方は無口で地味な感じだっただけに、当然の如くマサムネとポッチャリ型の方が、意気投合しているかに見えた。


 自分としてもなにせ初の体験だけに、気の強そうなポッチャリ型よりは、おとなしそうな細身型の方を密かに所望していた。ところが、いよいよ「いざ鎌倉!」の段になるや、何故かポッチャリ型の方がにゃべの、そして細身型の方がマサムネの腕を引いたのであった  (^_^)......ん?


 「この方がいいんだけど・・・」


 相手の方でも、いつの間にやら密かに相談を巡らしていたらしい(さっきの長い「トイレタイム」が怪しかった)。


 勿論、2人ともそれなりにかわいい子だっただけに、ここまできては異論を差し挟む余地はなかったが、結果的に自分にとっては幸いしたといえる。

 

 「そういや、さっきの(細身の方の)女やが・・・オマエの悪口ゆーとったわ プププッ(^m^) 」


 「うぬ・・・じゃあ言うまいと思っていたが・・・実はこっちの(ポッチャリ)女も、オマエの悪口言ってたんだよ」


 「ナヌッ? ホンマかいな?
 ・・んで、なんちゅーとった?」


 「うむ・・・ちと言い難いが。まあ、オマエから先に言えよ」


 「ほなお互い、遠慮なくいこうやねーか。ゴチャゴチャゆーとる場合やあれへん。
 要はその・・・なんやな・・・こうゆーとったぞ。


 『さっきの人って、一見インテリっぽい感じやけど、神経質そーちうか・・・なに考えてるのかわかりまへんって感じで、ちーとばかし怖いよ』


 ってな ヾ(≧▽≦)ノギャハハ」


 「な~にが、ギャハハハだい・・・」


 「だから、ちゃんとフォローしてやっといたわ。


 『いや~、普段はもっとヒョウキンでおもろいヤツやねんけどなー。ヤツは田舎モンで女に縁遠いよって、キミらみたいなキレイな子を目の前にすると、あがっちゃてな』


 とな」


 「(Д´)y-~~ちっ
 まったくオマエって男は、どこまでも調子の良いヤローだ。オマエの事は、こう言ってたぞ。


 『あの人、プレイボーイタイプだから女のコにもてそうだけど、あんまり調子が良くて信用できないみたい。あのメガネかて、ダテでしょ?』とな。 

 

気づかなかったが、途中から例の眼鏡をかけていたらしい。
 

ま、ダテメガネは当ってるから、仕方ねーしな (≧∇≦)ブァッハハ!


 「んで・・・?
 オマエもちゃんと、フォローしといてくれたんやな?」


 「ちゅーても事実だから、フォローの仕様もないだろーが」


 「だからこれは、ホンマもんやっちゅーのに。せやがその観察は、意外と鋭かったかも知れへんで。あのぽっちゃりの方は、案外悪ずれしとったな (≧∇≦)ブァッハハ!」


 と、冗談めかして笑い飛ばすマサムネ


 女学生の鋭い観察にも感心したが、マサムネの方はさすがは筋金入りのプレイボーイである。


 相手の正体を見抜く眼力はもちろんだが、この厳しい評価に少しはショックを受けるかと思いきや、何を言われても楽しげな風でまったく気にしていない辺りは、やはり一筋縄では行かない強かな遊び人の面目躍如たるものがあった (=´ω`=y─┛~~

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