ローマといえば音楽家を始め、古くから芸術家たちの憧れの地である。
イタリア・ボローニャ生まれの作曲家レスピーギは、ローマの持つ歴史と伝統の熱烈な賛美者であり、そこから『ローマ三部作』という傑作が生まれた。
20歳で故郷の音楽院を卒業すると、単身でロシアに渡り「管弦楽の錬金術師」として名高いリムスキー=コルサコフの門を叩き、管弦楽の技法を徹底的に叩き込まれる。レスピーギを語る時に真っ先に挙げられるのは、このリムスキー=コルサコフ直伝の華麗なオーケストレーションである。
最初に作曲されたのは、ローマに居を構えて間もなく完成した『ローマの噴水』である。ローマには「フォンタナ(fountain)」と呼ばれる噴水が沢山あり「トレヴィの噴水」などは名物だが、以下の4つの噴水の、それぞれの特徴を巧みに音で表現した。
1.夜明けのジュリアの谷の噴水
2.朝のトリトーネ(トリトン)の噴水
3.真昼のトレヴィの噴水
4.黄昏のメディチ荘の噴水
4つの楽章は続けて演奏され、それぞれの噴水が最も美しく見える瞬間を印象主義的技法を交えながら綴ったものである。
ローマ三部作は、その作曲者の才能が如何なく発揮された作であり、今回紹介する『ローマの噴水』に加え『ローマの松』、『ローマの祭』という3つの交響詩をまとめたものである。それぞれにテーマと作曲年代は違うが、いずれもレスピーギが愛してやまなかったローマをテーマにしている点は共通している。
つまりレスピーギという作曲家は、半生を賭けてローマの風景と歴史を音楽で綴った人だと言っても過言ではないだろうし、事実30代半ばからローマに永住した人であった。
『ローマの噴水』は「ローマ三部作」の嚆矢となった作品である。初演の際には評論家の嘲笑を買ったが、その後は最も有名な交響詩の一例として知られるようになった。
スコアの冒頭の序文には、次のような説明がある。
「ローマの噴水の四つで、その特徴が周囲の風物と最もよく調和している時刻、あるいは眺める人にとってその美しさが、最も印象深く出る時刻に注目して、受けた感情と幻想に表現を与えようとした」
第1部 夜明けのジュリアの谷の噴水(伊;La fontana di Valle Guliae)
牧歌的な光景にたたずむ夜明けの噴水が描かれ、朝ぼらけのなか家畜が通り過ぎる。
第2部 朝のトリトンの噴水(伊;La fontana del Tritone al mattino)
トリトンの噴水に近いベルニーニの噴水の彫像に見ることができるような、朝の日差しの中で踊るナイアデスとトリトンが描かれている。ホルンは神々や女神たちが、ほら貝を吹き鳴らす様を示している。
第3部 真昼のトレヴィの噴水(伊;La fontana di Trevi al meriggio)
ネプチューンの新たな勝利を告げる、凱旋式に導かれて始まる。
第4部 黄昏のメディチ荘の噴水(伊;La fontana di Villa Medici al tramonto)
第4部 黄昏のメディチ荘の噴水(伊;La fontana di Villa Medici al tramonto)
よりメランコリーに沈んだような雰囲気を伝えつつ、輝かしい夕焼けが消えていく風景を描く。
出典Wikipedia
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