調布市の深大寺といえば多摩地区では有名な寺院であり、また神代植物公園という東京でも(多分)有数の植物園があるとは訊いていただけに、それらの趣味のあるワタクシの好奇心を誘うには充分であった。
また吉祥寺在住の身としては、バス一本で行ける程度の距離感からもそれほど遠くはない事からも、一度は足を運んでみる価値はあるだろうと思いつつも、田舎者の常として多摩地区よりは、どうしても(交通の便が良い事もあり)新宿など、23区内に向かってしまうのがお定まりパターンなのだった。
そうして、吉祥寺に移転してから1年が経過しながら、その存在は意識しつつも遂に一度も足を運ぶ事のなかった深大寺だったが、行きつけのフィットネスクラブで偶然にして「深大寺温泉」のパンフを見つけるに及び、遂にその重い腰を上げる事に。
なにせ車のない身の上に根っからの無精者と来ているから、乗り換えなければいけない京王線は早々に却下。
かつて職場へ通うのに使っていた、吉祥寺のバスターミナルから「神代植物園行き」のバスが出ている事は知っていたが、たとえ台風が来ようが大雨や大雪で降ろうが自転車で通勤しているくらいのバス嫌いでもあるため
(この程度の距離ならば、自転車で行けるだろう・・・)
と目算を付け、勇ましくも自転車での深大寺行きとなった。
当初から(所詮は「多摩地区」の事だから・・・)とタカをくくっていたものだったが、地区ではかなり知られた観光地のせいか、祝日という事も手伝ってかなりの人出である。
<1300年も前から建てられているという深大寺。ここは水の神様・深沙大王の寺という事で、略して「深大寺」と名付けられている。昔からこの地は湧水の豊富な場所で、その綺麗な水からそばが出来上がり、そばが名物となっているのです。
境内の奥には「そば守観音様」があり、深大寺そばと綺麗な水をお守りしてくれています>
名物の「そばまんじゅう」などを売る店が、参道に連なるようにして並ぶ古い家並みを形作り、それらのまんじゅうなどを食べ歩く観光者のワキをすり抜けるようにして、狭い参道を徘徊しておいてから自転車で神代植物園へと向かった。
5月のシーズンには、近所の「井の頭恩賜公園」でシケたバラ園を見た時は
(やっぱ神代植物園とやらに、行った方が良かったか・・・)
と肩透かしを喰らいながらも足が向かなかったが、こちらのバラ園は比較にならぬほどの見事なスケールであった。主役のバラそのものは半月くらい遅れた感は否めなかったが、シーズンの菊や温室のサボテンなどを鑑賞して、再び深大寺参道へとUターン。
目的は稲城在住のN社マネージャーから、以前に聞き及んでいた「深大寺そば」だったが、参道にある数少ない店はどこも空席待ちの客で溢れていたため、深大寺地ビールを飲んだり、名物のそばまんじゅうを食べて時間を過ごした。地ビールは思いのほか旨くなかったため、スーパードライを呑み直したものの、蒸篭で蒸したての「そばまんじゅう」は、甘い物はあまり食さないワタクシにとっても思いのほか美味で、気付けば二つも食べていた。
みやげを買うついでに覗いた食堂が空いていたため、ようやくお目当ての深大寺そばを賞味するチャンスが訪れる。
<昔から深大寺周辺一帯は、そば栽培に適した土地で良質な地粉が収穫されて来ました。この深大寺のそばが有名になったのは、元禄年間に天台宗関東総本山・東叡山寛永寺御門主第五世・公弁法親王に、そば切りを献上してからと言われております。御門主は、献上された深大寺のそばをとても気に入り、御一門を始め全国の諸大名にも奨めたそうです。この事により、深大寺そばは『献上そば』とも言われていたそうです。
また一説には、三代将軍徳川家光公が鷹狩りの際に立ち寄り、深大寺そばを賞賛し推奨されたとも言われております。この、ごく一部の上層階級の人々にのみ賞味され、絶賛されて来た深大寺そばでしたが、江戸後期の文化文政の頃になると、次第に一般の人々にも食されるようになりました。
そのきっかけとなったのは、当時の江戸の文化人・太田蜀山人。彼が玉川巡視で深大寺に滞在した時、この深大寺そばを広く世に宣伝する事により当時の江戸の人々、とくに武蔵野を散策する文人墨客に深大寺そばは愛されました>
といった謂れがあるらしい。
まずは、味噌おでん(というかこんにゃくばかりなので、田楽というイメージ)で白鶴の熱燗を堪能して、仕上げに「もりそば(深大寺そば)」を食す。名古屋名物のきしめんや信州そばなど、そばには殊のほか煩いワタクシだけに
(どーせ、たいした事はなかろう・・・)
と正直あまり期待していなかったが、これが予想以上に旨いそばなのだった。
すっかり満腹したところで、名物の「そば饅頭」(8個入り)2箱と、お地蔵さんの乗った石の置き物を土産に送る手配をすると、再び愛車(チャリ)に跨り深大寺温泉へと移動していく。
<露天風呂付き野趣料理の店「炭゛爐 城山亭」敷地内にて99年2月から掘削をしていた温泉が、同5月湧出致しました。調布市での温泉湧出は始めてというのは勿論ながら、都内約50本ある温泉の中でも温度、量、効能等において大変高品質の温泉である、との評判を得ております>
脱衣所はかなり狭く、行きつけのフィットネスクラブに比べても、遥かに狭い空間だった。先ずは、内風呂に浸る。
内風呂・・・風水温泉として、最も大切に心掛けている健康風呂づくり。檜・竹・炭・波動石を活用し、有機施行をほどこして皆様をお迎え致します。
次いでサウナで汗を出して、室外の露天風呂へ。最初は、誰も入っていなかった「香り風呂」を独占した。
香り風呂・・・ハーブが香るこのお風呂は、体内の『欲求本能』を活発にさせます。
さらに、一人しか入れない「五右衛門風呂」を充分に独占した後は、メインのジェット風呂、そして洞窟風呂を経て滝見風呂へ。
五色湖・滝見風呂・・・風呂底に五色石を敷き足ツボを刺激。滝から発生するマイナスイオンで、自然治癒力を高めます(ぬる湯38℃)
露天としては温い滝見風呂の後は、再度熱めのジェット風呂で体を癒す。一時間近くも入っていると体が火照り、休憩用のスノコの上で空を見上げて大の字になっている時間が、なんとも心地よい。
デリケートな「ネコ肌」体質のワタクシは
霧の摩周湖・・・身体を冷やすことにより、自然治癒力でアミノ酸を引き出し、ツヤのある肌を蘇らせます(低温・マイナス2度)と
備長炭水風呂・・・黒の炭のエネルギーで臓器を癒し、若さを取り戻します
は寒さと冷たさで入る事は出来ず、また
塩釜風呂・蒸しサウナ・・・女性にも優しい蒸し風呂は温度45℃、湿度75%の低い温度帯で、発汗作用を促します。また痩身作用や運動不足の解消、糖尿病、呼吸障害の方にも最適
は工事中とやらで入る事は出来なかったが、再び自転車を漕いで家に帰った後も、清清しい爽快感が残っていた。
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