2005/04/09

レスピーギ『ローマの祭り』(ローマ三部作)



レスピーギが、オーケストレーションの達人であることは間違いありません。聞こえるか、聞こえないかの微妙で繊細な響きから、おそらくは管弦楽曲史上最大の「ド派手サウンド」までを含んでいます。言ってみれば、マーラーの凶暴さと、ドビュッシーの繊細さが一つにまとまって、そして妙に高度なレベルで完成されています

しかし、この≪三部作≫の創作された年代を眺めてみると、色々な思いがわき上がってきます。最初に作られたのが『ローマの噴水』で1916年、次が『ローマの松』で1924年、そして『ローマの祭り』が1928年となっています。要は、後になるほど「ド派手さ」がアップしていき、最後の『ローマの祭り』の「主顕祭」ではピークに達します。そこには、最初に作られた『ローマの噴水』の繊細さは、どこにもありません。そのあまりの下品さに、これだけは録音しなかったカラヤンですが分かるような気がします。

そう言えば、どこかの外来オケの指揮者がこんな事を言っていましたね。

「どんなにチンタラした演奏でも、最後にドカーンとぶっ放せば、日本の聴衆はそれだけでブラボーと叫んでくれる」

しかし、これは日本だけの現象ではないようです。どうも最後がピアニッシモで終わる曲は、プログラムにはかかりにくいようです。この三部作の並びを見ていると、受けるためにはこうするしかないのよ、と言いたげなレスピーギの姿が想像されてしまいます》

 4つの部分は、切れ目なく演奏される。各部にはレスピーギ自身により、コメント(標題)がつけられている。

1楽章「チルチェンセス(Circenses)」
チルチェンセスとはアヴェ・ネローネ祭ともいい、古代ローマ帝国時代にネロが円形劇場で行った祭で、捕らえられたキリスト教徒たちが衆人環視の中で猛獣に喰い殺される残酷なショーである。咆吼する金管群が飢えた猛獣を、中間部のコラールが猛獣に襲われるキリスト教徒の祈りを表している。

2楽章「五十年祭(giubileo)」
古い賛美歌をモチーフとし、ロマネスク時代の祭を表している。世界中の巡礼者たちがモンテ・マリオの丘に集まり「永遠の都・ローマ」を讃え、讃歌を歌う。それに応えて、教会の鐘が鳴る。

3楽章「十月祭(L'Ottobrata)」
ローマの城で行われるルネサンス時代の祭がモチーフ。ローマの城が葡萄で覆われ、狩りの響き、鐘の音、愛の歌に包まれる。やがて夕暮れ時になり、甘美なセレナーデが流れる。

4楽章「主顕祭(La Befana
ナヴォナ広場で行われる主顕祭前夜祭がモチーフ。踊り狂う人々、手回しオルガン、物売りの声、酔っ払った人(グリッサンドを含むトロンボーン・ソロ)などが続く。強烈なサルタレロのリズムが圧倒的に高まり、狂喜乱舞のうちに全曲を終わる。

 以下のような特徴指摘、あるいは評価がある。

『ローマの松』に比べてバンダが小規模である。
『ローマの噴水』、『ローマの松』に比べると、かなりの通俗性がある。
『ローマの噴水』、『ローマの松』に比べ、やや演奏されない。
『ローマの噴水』、『ローマの松』よりオーケストレーションは大規模であり、色彩的・鮮やかで派手な音楽である。

作曲者は生前には政治的に右寄りで、オペラのピエトロ・マスカーニと共にベニート・ムッソリーニに協力したといわれ、この作品はファシズムの台頭がもたらした芸術家のイタリア礼賛と無縁ではない。
出典Wikipedia

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