「三大ヴァイオリン協奏曲」と言えば、ベートーヴェン、ブラームス、メンデルスゾーンだが「四大」の場合は、チャイコフスキーを加えるのが一般的である。地元ドイツでは、勿論ブルッフが名を連ねて入り「四大」総てをドイツ人作曲家で占めている。
出典http://www.oekfan.com/
ブルッフのヴァイオリン協奏曲は3曲あるが、演奏されるのはほぼ第1番だけで「ブルッフのヴァイオリン協奏曲」と言えば、間違いなくこの曲を指す。
曲は伝統的な3楽章構成ながら、形式的にはかなり独特である。3つの楽章が続けて演奏されるところは、先輩のメンデルスゾーンを真似たかもしれないが、全編に渡り絢爛豪華でメランコリックな気分に溢れ、人気の高い作品である。ブラームスのヴァイオリン協奏曲同様、名ヴァイオリニストのヨアヒムの助言を得て作曲されたものだが、初演はヨアヒムではない。
まずティンパニと木管の序奏に続き、独奏ヴァイオリンの自由なカデンツァが始まる。最低音Gから高音まで一気に上っていくため、ヴァイオリンの音を味わうには最適と言える。続いて力強い第1主題に移るが、重音が多く聴き映えのする部分だ。
第1主題とは対照的に、優美で情緒深い雰囲気の第2主題、そして展開部で力強く盛り上がった後、通常は再現部が来るはずだが、ブルッフは両主題を省くという思い切った構成を取った。序奏のカデンツァ風の部分が再現した後、経過的なフレーズが続き静かに2楽章へと移る。
第1楽章は、異例なことに「前奏曲」と題されており、第2楽章と直接アタッカで繋がれており、第2楽章の前触れとしての役割を果たしている。
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