2005/04/18

ブルッフ ヴァイオリン協奏曲第1番(第3楽章)




 ブルッフが28歳の時に作曲された作品だ。初演の評判は芳しいものではなかったが、その2年後に大ヴァイオリニストのヨアヒムによって再演された時は、大成功を収めたという。ヨアヒムは、13歳の時にベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲の復活演奏を行ったほか、ブラームスのヴァイオリン協奏曲の初演者としても知られる。

ブルッフはブラームスと同世代で作風にも共通点があるが、ブルッフの方が楽想にロマンティックな甘さがあって、人気の理由ともなっている。

3楽章は、前の楽章の静かな憧れと好対照を成している。期待感を持たせるような序奏に続き、独奏ヴァイオリンが格好良くダブルストップ(重音)で精力的で勇壮なメロディを奏でて幕を開ける。オーケストラで繰り返された後、華麗なアルペジオと優美な装飾が続き、第2主題が伸びやかで幅広く歌われる。展開部、再現部と続いた後、プレストのコーダになって情熱的なフィナーレを迎える。

この協奏曲は、異例なことに作曲者自身がカデンツァを挿入することもしていなければ、独奏者が独自のカデンツァを挿入することも許していない。また、どことなくブラームスのヴァイオリン協奏曲を思い出させるところがあるが、作曲年代はこちらの方が古いため、ブラームスが真似たとも考えられる。

ヴァイオリンの神様と称されたサラサーテがこの曲を愛し、各地で弾きまくったお蔭で有名になった。かねてより、サラサーテのヴァイオリンの腕に興味を示していたブラームスは、その実演に接して

「サラサーテのヴァイオリンは、確かに素晴らしい。しかし、ブルッフのあの協奏曲はいただけない。ワシなら、もっと良い曲が創れるワイ」

と言ったらしいが (^^;)

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