にゃべとゴトーは、インターハイ予選の時同様にどちらが先に蹴るかで揉めたが、じゃんけんでまたしてもにゃべが勝ち、先攻『T高』の1人目が無難に決めたのを受け、にゃべが登場。が、思い切り良く放ったシュートはキーパーに止められ、まさかの失敗!
天を仰ぐにゃべに
「まだまだ、これからよ・・・」
と、ドージマが声を掛ける。
『T高』は2人目も落ち着いて決め、ゴトーにプレッシャーが掛かった。
「ゴトーよ、リラックスして行け、リラックス!」
というドージマの檄を背に、慎重にボールをセットするゴトーは珍しく強張ったような表情だ。そしてゴール隅を狙い澄ましたボールは、狙いは絶妙ながら非情にもゴールポストを叩き、ゴトーが頭を抱えて天を仰いだ! ( ̄▽ ̄;)!!ガーン
まさかの2人連続失敗!
しかもエースのにゃべ、ゴトーが続けて失敗という最悪の展開だけに、さしものドージマを始め誰しも声が出ない「お通夜」状態だ。当のにゃべも恐らくはゴトーも、この時点で「終戦」を覚悟したのが本音であった。当然ながら『T高』イレブンの方は、早くも勝利を確信したようなお祭り騒ぎとなっていた。
『T高』は続く3人目もあっさりと決め、この時点で「3-0」。『A高』は、この後3人のうちの誰か1人でも失敗すれば負けという、絶体絶命の断崖絶壁に立たされた。
そんなプレッシャーの中、3人目に登場予定はPKの得意なWBムラサキだったが
「オレが行く!」
と、意を決したような声を上げたのはケントだった。
忘れもしない、インターハイでの痛恨の失敗。このケントの失敗により、『A高』は遂に無敗のままインターハイを去ることになり、しばらくグラウンドに蹲ったまま泣き崩れていたのがケントだった。
インターハイ後は、蔭で
(アイツの失敗のせいで負けた)
と言われていたことは、本人も知っていた。
しばらくは立ち直れないかと思っただけに、遠慮のないにゃべやゴトーらから
「オマエのせいで負けたって、みんなに言われとるぜ」
などという「荒療治」に耐え続けることで
「おー、オレがA級戦犯じゃい!」
などと開き直れるまでに、逞しく成長していた。
そのケントが、これ以上ないという厳しい場面で「火中の栗を拾いに」自ら名乗りを挙げたのだ。
(ここでケントは、やばいんじゃ・・・?)
と言いかけそうになったが
「行けっ!」
ドスの利いたひと声を掛け、ドージマが送り出した。
(また、ヤツに引導を渡されるんじゃねーだろな?)
と皆が祈るように見守る中、ケントは大胆にもゴトーと同じ方向を狙った。これにはキーパーの読みが見事に外れたが、コースを狙いすぎてポストに弾かれ万事休す!
と思われたが・・・ボールは、ギリギリでゴールへ吸い込まれる。
「これは・・・ケントの執念だ!」
と沸き立つ『A高』イレブン。
ようやく1本決めて「1-3」。取り敢えず負けは先送りされたが、依然として瀕死の状況は変わらない。『T高』の残り2人のうち1人が決めるか、或いは『A高』の2人のうちの1人が外した時点で終戦だ。
そんな中、『T高』4人目のシュートをケントが見事にセーブした!
失敗したキッカーは頭を抱えたが『T高』としては、まだまだ余裕がある状況は変わらない。『A高』4人目は、WBムラサキ。目立たないが、にゃべ、ドージマ、ゴトーとともに、2年生からレギュラーを張ってきたWBとして、欠くことのできない存在だ。外したら終わりという極限プレッシャーの中、しかしこれも落ち着いて決めて「2-3」となった。
とはいえ、まだ『T高』5人目が決めるか、或いは『A高』の5人目が外せば、それで「ジ・エンド」だ。そんな中、『T高』5人目はプレッシャーに負けたか、ゴールを遥かに飛び越える思わぬ失敗となって「2-3」は変わらず。
「よっしゃ、行くぜ!」
という気合とともに、キャプテンのドージマが落ち着いた表情でペナルティ・エリアへ向かう・・・
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