マチャは幼馴染だ。遡れば、ムラカミと同じく保育園時代からの同級となるが、にゃべが初めてマチャを知ったのは小学校の低学年時代だった。当時から、滅法ケンカに強く運動神経も優れていたマチャは、ムラカミやマサ同様に既に校内では知られた存在であった。
それまでは、それほど親しく接触することのなかったマチャと、急速に親しくなっていったのは中2の年だ。同じクラスで、にゃべに恋心を寄せていた美佳に横恋慕をしたマチャが、一人相撲を取った挙句に大恥をかいたのが当時の顛末だった。当初のマチャのお目当てはあくまで美佳で、にゃべはテイよくダシに使われようというところだったが、そうして接触していたり夏に行われたキャンプで同じグループとなるや、急速に親しさを増していったのである。
この美佳を巡るエピソードからも明らかなように、マチャというのは非情に直情型の性格で、こうと決まれば周囲の眼などは一切、眼中になくなるようなところがあった。そして冒頭でも触れたように、子供のころからスポーツ万能だったマチャは、中学時代にはハンドボール選手として活躍し『A高』でも最初はハンドボール部に入部したが、体育の授業で早々に教師の目に留まり、陸上部にスカウトされて転部していた。
高校に入ってからは急速に体も大きくなり、いつの間にやらにゃべを優に凌駕していき、180cmを超える大男となっていた。加えて容貌の方も、いわゆる美少年タイプではないものの、男らしい精悍な面構えに磨きがかかり、当時は水も滴るオトコマエと言われたにゃべの目から見ても
「ウムム・・・マチャのヤロー、男らしくなりやがったなー」
と、素直に認められるほどであった。
スカウトした陸上部長の目に狂いはなく、転部したばかりの陸上部でも活躍していたマチャだが「英雄色を好む」の言葉通り生来の女好きは相変わらずで、ゴトーとともに「女誑し」の双璧として名が轟いていた。
卑しげなシモネタの連発と、コーカツな性格のせいか大してもてなかったゴトーに比べ、サッパリした気性(単純?)のマチャの方は、先に触れたオトコマエも相俟って結構なモテ男ぶりだった。それをいいことに手当たり次第といった調子で、あちこちでモーションを掛け捲っていたらしい。
この年、にゃべと同じA組となったマチャが目を付けていたのは、誰あろう校内随一の人気者であった明日香とさすがに狙いが高かったが、オフザケモードの明日香の方も案外マチャのようなタイプは好みらしく、すっかり良い雰囲気になっていた。
もっとも、明日香というのが稀に見るような天真爛漫で社交性抜群、男女の別なく誰とも親しくし、また誰からも好かれる特異なタイプだけに、一概にマチャに惚れていると決め付けるのは早計だとも思えたが、それでも相性の良さはハタからも窺えたのは確かだった。
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