ファランドールとは、フランス南部のプロヴァンス地方で踊られる6/8拍子の舞曲の名称である。ビゼーの組曲『アルルの女』に含まれる「ファランドール」は「3人の王の行列」と「馬のダンス」の2種類の民謡を元に創られた。
第2組曲で最も好きなのは、このフィナーレとなる「ファランドール」に尽きる。有名な第3曲の「メヌエット」は、初めて聴いた時から忽ち虜になったくらいで、その素晴らしさは充分に認めるはするが、若い頃に散々に聴き過ぎたせいか、どうしても新鮮味に欠けるのだが、このファランドールの方は何度聴いても飽きないから不思議だ。
その「メヌエット」の美しいフルートの旋律から一転して、南仏・プロバンス地方の舞曲もかくやと目を見張るようなダイナミズムと、零れるような情熱がはちきれんばかりの音楽が展開され、目くるめくような狂騒に包まれて迎えるフィナーレは、あの『カルメン』も真っ青になるような野性的な魅力を湛えている。
このように、全編を通してビゼーお得意の野性味溢れる情熱と、また随所に美しいメロディが散りばめられ「組曲の傑作」という点では、並ぶものがないくらいの素晴らしい曲の数々が充二分に堪能できるのが『アルルの女』なのである。
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