前にも書いたように、チェロがメロディを担当する場面は、ピアノは伴奏に重きを置くのが定式だが、この作品ではチェロとピアノは完全に対等なものとして書かれているのが特徴である。
あるチェリストの
「この曲は名曲だけど、ピアノパートが難しいので弾けるピアニストを捜すのが大変だ・・・」
というセリフにある通り、この作品に限って言えば伴奏者が「ソリスト」としての実力を持たない限り、演奏全体の完成度が低いものになってしまう。要するに「伴奏専業ピアニスト」では弾きこなせない作品、ということだ。
伴奏専業ピアニストは、室内楽としての絡み合いのツボは理解しているものの、自分が主役として注目されることに慣れておらず、またソリストのように自らの演奏でリスナーを惹きつけるだけの魅力にも乏しい。
一方、ピアニストの方がテクニックや実力を十分に備えている場合は、どうしても自分が目立とうとするだろうが、チェロ・ソナタという形式からしてピアノがチェロ以上に目立ってしまっても困るから、目立ちたがり屋のソリストでは上手くいかない。この辺りが、室内楽の難しいところと言える。
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