2004/11/04

再会(高校生図鑑part9)


 A市南部生まれの真紀は、市の中心部であるB地区出身である、にゃべら『B小』組とは小学校が違った。市最南部のこの地区は、この2つの学区に分かれていたが、片方が市の外れにある昔ながらの田舎町といった佇まいであるのに対し、真紀の学区の方は急速に拓けてきたニュータウンとして、他都市からの転勤族が多かったらしい。

そんな環境にあって、真紀は小学校から生徒会副会長を務めた才媛であり、言うなればC学区における香のような存在であった、と考えていいだろう。小学校卒業後『C中』が創立されるまでの1年間は、にゃべらと同じ『B中』に通って来ていたのは、『中学編』で何度も紹介して来た通りである。

『B中』での1年間は、にゃべとも一緒に級長を務めながら親しくなったものだったが、ちょうど知的レベルが同等だったのが、親しみを増すのに好都合であった。が、そんな楽しかりし日々も、残念ながら翌年には予定通り、滞りなく『C中』が創設された事により、僅か1年間でのピリオドとなってしまった。

小学校時代同様、また別々の学校に通うことになったが、その後の2年の歳月を経て、この『A高』での再会となる。『A高』はA市でも最北部といった立地にあるため、最南部に近い真紀の家からは自転車でA市を縦断するような事になっていた。

「雨の日なんかは電車で通学したり、結構面倒・・・にゃべは近くていいねー」

などと羨んでいたものだ。

「にゃべ、久しぶりー!」

「そーだな。そーいや、4年ぶりだもんなー」

さすがにこの年頃にあって、4年の歳月は長い。元々、中学生時代から背が高いことや銀縁メガネのせいもあって、他の女学生に比べ大人びたところのあった真紀だったが、病的なまでに色白の肌とショートヘア、そしてお馴染みの銀縁眼鏡がインテリ風の細面によくマッチしたそのシルエットは、とても17歳になったばかりには見えなかった。すっかり、知的な女子大生といった感じの、大人びたムードなのである。

男子にも負けない長身と、色白で細い目などが一見冷たそうな印象を与える点も手伝って、あたかもプライドの高そうな雰囲気があるため、男子生徒にはとっつき難いタイプらしかったが、実際の真紀は浮ついたところはないものの、非常に気さくな社交家である。

中学時代から親友関係にあった千春のように、ドギマギさせるような色気には欠けたものの、代わりに彼女に特有の鋭い知性の煌めきは健在だった。それでいて賢さをハナにかけるところがないのが、彼女の偉いところでもあった。

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