これまで親しくしていたムラカミ君とマサ君は、ともに成績優秀でスポーツも万能(ムラカミ君)、おまけに目の醒めるような美少年(マサ君)と、まずまず3拍子揃った似たタイプだった。
ところが、4年生になって急速に親しくなったシモッチは、2人とはまったく違った異色のタイプだ。
クラスで2番目に背が高かったにゃべっちの後ろに一人、群を抜いて大きなシモッチがいた。
このシモッチ、背だけではなく横幅もかなりあるところも、スマートな3人とは違う。
成績は平均レベル、スポーツは苦手と、にゃべっちの第一印象は単純に「デカイヤツ」だけだったが、このシモッチの最大の武器は芸術的な才能だ。
絵や工作など、いわゆる「芸術系」はオールマイティで、とにかく何をやってもずば抜けていた。
校内写生大会など、芸術系のイベントでは入選の常連で「最優秀賞」を獲ったこともあった。
その方面の才能には恵まれなかったにゃべっちは、すっかり彼の才能に惹かれその作品を楽しみにするうちに急速に親しくなっていく。
シモッチの家に遊びに行くと、プラモデルの製作を趣味としていたその部屋は、まったく足の踏み場もないくらいに、工作の道具や部品などで埋め尽くされている。
さらに完成品の数々は、どれもが町のショーケースに並んでいる商品にもひけを取らぬくらいに、見事な出来栄えのものばかりだった オオー!!w(*゚o゚*)
『B小』だけでなく、近辺の幾つかの小学校の男子生徒の間でカルト的な人気を誇っていたプラモデル屋のショーケースには、児童の持ち込んだ秀作がショーケースに展示されていた。
生徒らの間では、ここに展示されることは大きな「勲章」を意味していたが、シモッチの作品が展示されることもあった。
記憶にある限り、同学年の生徒でここに展示されたのはシモッチのみである。
シモッチの家は学校から近く、ちょうど通学コース上だったためクラブが休みの日(雨の日などに限られたが)など、下校時によく遊びに行っていた。
シモッチの父親は電気工事関係の仕事をしていたから、手先の器用さはおそらく遺伝的なものなのだろう。
こうして小さな社交家・にゃべっちの交遊範囲は、益々拡がっていった。
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