2年、3年と成長していく中、成績は依然として群を抜いていた神童にゃべっち。
中でも、得意にしていたのが国語と算数で、両科目ではほぼ毎回100点満点の「パーフェクト」が続く。
逆に、兄と違い不器用だったため、音楽と図工ではなかなか「5」が取れなかった。
体育は、相変わらずズル休みを続ける水泳を除いてはほぼオールラウンドで、このころ放課後などで流行っていた「ドッジボール」では、異常に発達した反射神経を発揮し「神懸り」の域に達していた。
ところで3年6組には、もう一人優秀な少年がいた。
言うまでもなく、マサ君だ。
にゃべっちには僅かに及ばないとはいえ、唯一「神童」の牙城を脅かす可能性のある存在と言えた。
まだ低学年だけに、テストの点数や成績の発表のようなことはなかったが『B小』では、テストで高得点を取ると「一回賞」という小さな賞状が貰えた。
この「一回賞」が10枚溜まると「十回賞」という大きな賞状が授与される仕組みだ。
各教科のテストで100点を連発するにゃべっちの元には、瞬く間にこの「十回賞」が山と積まれていく。
この年の担任は新米の女教師だったが、2年生の担任だったベテラン教師は
「過去に、こんなに十回賞を出した記憶がない。
クラスの全員に出す分より、にゃべ一人に出す方が多いよ」
と舌を巻き、両親も
「こんなに沢山の賞状が・・・」
と喜んでいた。
2年ぶりに同じクラスとなったマサ君も、にゃべっちに次いで「十回賞」を量産していたのは、さすがだった。
相変わらず、女の子のような美少年だったにゃべっちと、そのにゃべっちに唯一ひけを取らない目のくりくりしたハーフのような美少年で、とても賢いマサ君が皆の人気を二分していた。
決して変な趣味はないが、マサくんの美貌は入学直後に真っ先に目を奪われたくらいで、どの女の子よりも圧倒的に際立っていたから、当然にゃべっち同様に女の子には非常に人気があった。
にゃべっちとの違いは、背の高さだ。
後ろから2番目とノッポだったにゃべっちに対し、マサ君はクラスで一番の小柄。
もっとも小学校低学年のこの時期は、小さいのはチャームポイントでもあったのだが。
ちなみにマサ君とは、この年終了間近に起きた「ある事件」がきっかけとなり、急速に親しくなっていく。
0 件のコメント:
コメントを投稿