「にゃべ、今日はプールのテストだからな。
入るよな?」
1学期最後の体育の授業前、担任教師から意味深な薄笑いの表情で、出しぬけに尋ねられ
「あっ、海パン忘れた!!」
と、いつもの手で逃れようとしたが
「海パンならあるぞ、ホラ。
お前のだ・・・お母さんが忘れたからといって、わざわざ持って来てくれたんだぞ」
そのゴツイ手には、確かに見覚えのある海パンとバスタオルが、しっかりと握られているではないか (/||| ̄▽)/ゲッ!!!
どうやら家に電話をし、わざわざ持ってこさせたらしい。
ここまで外堀を埋められてしまっては、最早逃れるすべはない絶体絶命のピンチだ。
「なーに、オレも神童だ。
スポーツだって、万能だったではないか。
たかがプール・・・やってみれば案外、簡単に泳げるはずだ・・・」
との甘い考えで、開き直るしかなかった。
さて担任の宣言通り、1学期最後のタイム測定が始まる。
背の低い方から2人ずつ順に泳ぎ始めたが、驚いた事にこちらがズルをし続けた3年の間に、みんな随分と上達しているではないか。
泳げないものとて一人もなく
「連中があんなにやれるんなら、オレだって少しくらいは泳げるはずだ」
と順番待ちの間に、すっかり開き直ってきた。
そして、いよいよ最後の方で遂に出番がやってきた。
さすがに、ここまでくれば「どうにでもなれ」という気持ちで、すでに恐怖感は消し飛んでいた。
笛の合図でヤケクソ気味に水に入るや、あえなく体はブクブクと水中深く沈んでいき、ようやく足掻いた末に水面に浮き上がるのが精一杯だ。
「にゃべ、失格ー。
夏休み、補習に通えー!」
小気味良さげに、意地悪く薄笑いを浮かべる担任。
皆が注視する中で、とんだ赤っ恥を掻くハメとなった ( ̄_ ̄|||) どよ~ん
そして1学期の通信簿、これまで「5」しか取った事のなかった得意の体育(と言うよりは、小学校6年で全教科を通じて唯一の)が「3」の評価となり、さすがに悔しさと情けなさが猛烈にこみ上げてきた。
「なんと情けない。
一体、何をやってるんだ、オレは・・・このままではダメだ・・・折角のサトちゃんの友情を無にしてしまうことだけは、あってはならぬ・・・」
生まれて初めての屈辱に、一念発起を幼い心に強く誓った (≧Д≦)ノ オー!!
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