神童にゃべっちに次ぐ秀才と目されたムラカミ君は、家も歩いて5分程度と近い距離にあり大の仲良しだった。
同じ優等生でありスポーツもほぼ万能と、共通している部分が多いのもウマがあった原因かもしれないが、勿論異なる点も多かった。
ムラカミ君の性格を如実に表しているのが、次のエピソードだ。
以前にも記したように、1年生の算数ドリルでは判で捺したようににゃべっちが真っ先に手を挙げ、2番手がマサ君というのが固定相場だったが、このムラカミ君が手を挙げた記憶は終ぞなかった。
そのことを不思議に感じ、後に聞いたところ
「オマエがあんまり早えーから、あほらしくてな・・・」
と、サボタージュを決め込んでいたらしい。
恐らく能力的にはマサ君とともに、神童にゃべっちに迫る希少な存在だったと思われるが、このエピソードが示す通り子供らしい目立ちたがり屋の2人とは違い、ムラカミ君は子供の時からクールな性格だ。
親しい仲間内にあっては、ヒョウキン者として知られるムラカミ君だが、対外的には万事ソツのないしっかり者でもあった。
また相変わらず女の子とよく間違えられる、紅顔の美少年で人気者のにゃべっちやマサ君に比べ、見るからに優等生然としたムラカミ君の方は、皆から一目置かれやすい風格があった。
この頃から、家にもちょくちょくと遊びに来ていたが、両親や姉は
「ムラカミ君は、見るからに賢そうな顔をしとる・・・」
などと口を揃えていた。
小学校入学当初は「神童」として図抜けた存在だったにゃべっちを別格として、それに続いたのがこのムラカミ君とマサ君だったが、マサ君は美少年として、ムラカミ君はスポーツ万能の優良児として、ともに親友という間柄であり、また最も気になる存在でもあった。
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