2003/08/25

奇跡の手(プールに挑戦シリーズpart1)



相変わらず、プールのズル休みを続けるにゃべっち。

例によって

「耳に、できものが出来てしまったので・・・」

などと適当な理由をデッチあげて見学を申し出たが、その日はたまたま担任の虫の居所が悪かったか 

「どうせズルだろうが・・・いい加減にしろよ、オイ!」 

と、怒りが爆発した ゴルァァ(`Д´♯)ノァァァ

 担任のヒスは止まるところを知らず、黒板用の大型定規で思い切り頭を殴られた(今時なら、間違いなく行き過ぎた体罰・人権問題だ!) 

「そもそもオマエは、これまで一度でもプールに入ったことあるのかーっ?」 

「ありますけど」 

「何~ィ、ある~?  
嘘をつけー、嘘を。

おい!
この中で、にゃべがプールに入っているところを見た者はおるかー?

おったら、手ェ挙げてみー」 

担任の物凄い剣幕に、険悪なムードで張り詰めた教室の雰囲気に気圧されたか、いつもは親しい友たちも俯いたまま、ひたすら嵐の通り過ぎるのを待つだけの様子だ。



(こりゃ、絶望か・・・)

と、観念しかけたその時だった。

1本の少年のか細い手が、高らかに挙がった (^_^)......ん? 

「ん? 
サトー、オマエ、見たことがあるだと?」 

予期せぬ成り行きに、ややうろたえ気味の担任に 

「あります」 

と、堂々のサトー君。 

「いつ、見たんだ?」 

「確か、23年前だったと思いますが・・・」 

「本当かぁー?
いい加減なことを言うとったら、承知せーへんぞー」 

と凄んでみせる担任だったが 

「本当に見ました」 

と、サトー君は動じない。 

どのような信念に支えられてかはわからないが、とにかくサトー君の主張はまったくぶれなかった 

「どのくらい泳いでたんだ?」 

「そこまえは憶えてませんが、確かににゃべちゃんがプールに入っていたところは、何回か見た事記憶があります・・・」

普段は、どちらかと言えばあまり目立たかったサトー君であり、特に親しいわけでもない。 

その彼に、ここまで堂々と言われる想定外の展開にすっかり毒気を抜かれ、これ以上追求がし難くなった担任の糾弾は尻すぼみとなった。 

 それにしても日頃から親しい友人達も、沈黙を余儀なくされたあの険悪なムードの中、殆ど付き合いのなかったサトー君の証言(しかもデタラメのw)には驚きもし、またあれほど救われた思いはない。 

 いやー、ホント、人の心ってわからないもんだと、つくづく実感したものだった。

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