年末の「ハチャメチャ納会」の主役A氏から、翌日に
「昨日の事はまったく記憶にありませんが、ご迷惑をおかけしませんでしたか?」
という、惚けたメールが飛んで来たのに対し
「昨日の件は、酔っ払いの戯言として処理済みである」
と返事を返していたが、年が明けて喫煙所に居ると珍しく向こうから寄って来た。
元々が人一倍口下手なタイプなA氏の心中を察して、世間話を持ちかけてなんとなく有耶無耶にしてしまったのはワタクシで、もとよりA氏に対しては根は悪い人間ではないと評価していた。
こうしてA氏とは元通りの関係に戻ったが、なにせ責任者のS氏とはあれだけの大喧嘩をしたくらいだから、何時クビを言い渡されてもおかしくはなかったものの、それはそれで名古屋に帰る口実が出来てちょうど良い。それはともかくとして、仕事始めの週は平穏なうちに終わったと思ったら、二週目に入る早々に思わぬニュースが降って来た。
第二責任者のF氏から
「私は来月から、N本社に戻ります・・・」
という、青天の霹靂の発表である。
「青天の霹靂」と言っても、元々がそれぞれの社内でも知っている人間は担当営業と、その上司の数人しかいないという極秘の出向現場だから、ギリギリまで口外は出来ないという通常ルールに則っているのだが・・・
しかしながら、問題はF氏である。現場責任者であるS氏は、内幸町本部から来ているが週に半分来るか来ないかという人物だから、実質的にはこのF氏こそが現場を取り仕切っているボスなのである。そしてワタクシの隣の席に座っているだけでなく、前年秋から正式なメンバーになってからは、何くれとなく面倒を見てくれた非常に親切な人であり、右も左もわからない状況の中で、これまで何度助けられたかは数知れない。
二ヶ月が経過して、年が明けた頃には例によって早くも「地」が出て、いつの間にかボロクソに言うまでになっていたが、それでも笑って受け流してくれる鷹揚な人であり、既に一本立ちしている他のメンバーはともかくとして、ワタクシ的には現メンバーの中で、最も居なくなられては困る人物であった。
とはいえ、労使協定で出向期間の上限に定められている三年を既に半年も超過している人であり、何より既に決まってしまったものは、どうにも動かせはしないのだ。
ところでこの現場のユニークなところは、S氏とF氏という二人の責任者はともかくとして、残りのメンバーに上下関係はなく20代前半の若者も40歳のオジンもフラットな関係なのである。そういった関係からか、メンバー交代時の「歓送迎会」などといった催しも、誰かイニシチアブを取る決まった人間がいるわけでもなく、また自然発生的に立ち上がってくる事もないから、誰かが企画して幹事を買って出ないといけないのだ。
通常は、同じ系列会社で残る人間が企画を立ち上げメールで周知をし、店の選定から予約までをこなしていかなければならないのだが、N本社から来ているのはF氏一人だけだったから、N系列のメンバーのうちの誰かがやらなければいけないのは明らかであった。
ところが困った事に、ワタクシ以外に3人いるN系列のメンバーのうち、リーダーのN氏はF氏とは犬猿の仲だったし、また中心的なメンバーでワタクシの席からF氏とは反対隣に座っているQ氏も、自分が下戸のためか薄情さの故かこういった際には、常に知らん振りを決め込んでいるのだった。
残るC君は24歳と最年少であり、こういった役には最も相応しいはずだが気が利かないのか、これまた一向に腰を上げようという気配すらない。
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