2005/01/18

画策(Gシリーズ第3章)後編

「困ったねー・・・Fさんを送る会だけど、誰もやろうとしないし・・・」

いつものように、喫煙所で24歳のK君に話すと

「Nのメンバーは冷たいというか、絶対やらないですよ・・・にゃべさんの歓迎会と(前任者の)Mさんを送る会の時も、本来はN社のメンバーがやらないといけないのに、誰もやろうとしなかったからボクがやっくらいですからね。にゃべさんが、やるしかないんじゃないですか?」

「オレじゃーなー・・・入ってまだ2ヶ月しか経ってない新参者だし、幹事を買って出るのってのも僭越だ・・・」

「いいんじゃないですか、そんなのは。まあ、本当は入って23ヵ月という人がやるのはおかしけど。本来なら、Cさんみたいな若いのがやらないといけないんでしょうが、彼はいつもまったくしらん顔だからなー」

若いC君とはあまりソリが合わないから、同い歳のR氏に

「Fさんを送る会だけど・・・幹事やって貰えませんか?」

と持ちかけると

「総て任せた」

と、あっさりと逃げられてしまった。

(うーむ・・・困った困った。2ヶ月のオレがこんな役をやるのは、やはりよろしくないよなー。それよか何より、店の選定から予約の面倒を考えると、とてもやってられん・・・)

というのが人一倍無精者のワタクシのホンネであり、この時点で既に誰かにこの面倒な役を押し付けるハラは固まっていた。

 とはいえ、こういった交渉をあまり大っぴらには出来ないから、ターゲットにしたのは喫煙所で会う機会の多いM氏とA氏の2人で、どちらも同じくらいの年齢で話が通じやすい上、幹事役には適した条件が揃っていたのだ。

ワタクシの真向かいの席にいるM氏は、ワタクシと同じくF氏に気に入られていた人物だから、F氏に辞められて困るところだろう。

(案外、喜んでやるかも・・・)

と思い、持ちかけると

「N社のFさんだから、同系のにゃべさんとかがやらないとね・・・」

「いやー・・・やりたいのはヤマヤマだけど、2ヶ月の私では役不足だし・・・Mさんは会社の忘年会で幹事をやったそうだから、そのノウハウを生かしてやってよ」

「ダメだよ・・・私は会社が違うからね。寧ろ私なんかより、RさんとかCさんに頼んだ方がいいんじゃないかな・・・」

とノウハウだけは教えてくれたが、最後は逃げられてしまった。

となると、残るはA氏しかいない。元々大人しい性質でもあり、また口には出さなかったものの、やはり納会で迷惑を掛けたという引け目もあったろうA氏は

「別に、やってもいいですけど・・・」

と拍子抜けするほど、あっさりと引き受けてくれた。

「でもにゃべさんは、なんでやらないの・・・?」

「やってもいいけど私じゃあ新参者だし、号令掛けても誰も反応しないだろうし・・・」

「私の号令じゃ、余計に反応しないでしょう・・・」

と、自嘲気味に笑ったところを見て

(もう一押しだ・・・)

と、伝家の宝刀を抜く事にした。

「蒸し返すわけじゃないけどさ・・・ホラ、去年の納会の事もあるし、このチャンスに汚名挽回するといいんじゃないの?」

「なるほど・・・わかりました」

皆に周知するためのメールは、こちらで作成した上ノウハウを伝授しておき、いよいよ関係者へメールを送信する段になったところで、タイミングの悪い事に「アラシ男」のK君がやって来たから堪らない。

「あれ?
なんでAさんがやってるんですか?
にゃべさーん、Aさんに押し付けちゃダメじゃないですかー」

とやったから周囲の注目を誘い、ちょっとした騒ぎになってしまった。

「そーゆー事だったのか・・・」

と、夢から醒めたようなA氏にダメを押すように

「ダメですよ、にゃべさん!
Aさん、早く名前をにゃべと書き換えて、メールを送ってください・・・」

と言われるがままに、自分の名前を「にゃべ」と書き換えてあわや送信ボタンを押そうかという大ピンチ。

「バカモノ!
敢えて言いたくはなかったが、A氏に例の納会の名誉挽回のチャンスを与えようという、オレの親心がわからんのか」

「ああ、なるほどそういう事か・・・それならまあ、わかりますが・・・」

と一瞬皆が納得した隙に、横手から電光石火のスピードで「にゃべ」を「」に戻し、無事に送信完了 (  ̄∇ ̄)σ|[] ボチッ

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