2005/03/09

シェーンベルク『浄められた夜』(第1楽章)

弦楽六重奏版

弦楽オーケストラ版


 19世紀末、ワーグナー、ブルックナー、マーラーらの出現によって、ドイツ後期ロマン派の音楽は、大きな岐路に立たされていた。それまで西洋音楽の土台となっていた「調性」という概念が、次第に曖昧になってきたのであった。そして、その概念を一気に突き破ったのが、弦楽合奏曲「浄夜」、声楽曲「月に憑かれたピエロ」、オペラ「モーゼとアロン」などの作品で知られる、アルノルト・シェーンベルクである。

シェーンベルクが創案した「無調音楽」そして「12音音楽」は「調性を無視した」あるいは「オクターブ内の12の音に均等の価値を持たせる」という難解なもので、彼と同時代の作曲家たちも

こんな音楽を書く位なら、雪かきでもしたほうがましだ」(リヒャルト・シュトラウス)

これは音楽というよりも工場みたいだ」(モーリス・ラヴェル)

といった批判をシェーンベルクに浴びせた。

しかし時の経過とともに彼の作品は理解されるようになり、20世紀の作曲技法に多大な影響を及ぼすまでになった。

浄められた夜』は、シェーンベルクの初期作品の中では《グレの歌》と並び、最も有名かつ最も重要な作品の一つであり、その後たびたび弦楽合奏用に編曲や改訂が繰り返され、シェーンベルクの主な収入源となった。

リヒャルト・デーメルの同名の詩「浄夜」に基づき、月下の男女の語らいが題材となっており、室内楽のための音詩という極めて特異なジャンルを開拓したことでも有名となった。

1902年にウィーンで初演が行われた際、半音階を多用した当時としては斬新な響きや、調性の浮遊するパッセージ、さらにあけすけに性を主題とするデーメル作品を出典に作曲する姿勢をめぐって波紋を呼んだ。
出典Wikipedia

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