ヨーロッパといえば有名作曲家の宝庫だが、不思議と北欧圏には有名作曲家が非常に少ない。少ないどころか、他のヨーロッパ圏と比べたら「音楽家不毛の地」かと思うくらいである。北欧諸国といえば、一般的にはアイスランド、スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、フィンランドの五カ国だが、この中で有名作曲家として思いつくのは、フィンランドのシベリウス、ノルウェーのグリーグ、デンマークのニールセンくらいのものである。
この中でも最も有名なのは、やはりシベリウスであろう。余談ながら、シベリウスは「音楽界の三大ブオトコ」としても有名であり(動画に画像がある。後の二人は、ドヴォルザークとシューベルト)、そのコンプレックスのせいかどうかはわからないが、極度のあがり症だったといわれる。
14歳ぐらいの時に、初めてヴァイオリンを手にしてから演奏に夢中になった若きシベリウスは、ヴァイオリニストになることを目指していた。「森と湖の国」フィンランドらしく、舟を漕いで誰もいない湖の中にある島で練習していたそうな。姉がピアノ、弟はチェロを弾いて、兄弟で室内楽も楽しんでいた。その後、音楽大学(今のシベリウスアカデミー)ではトップの腕前を持つ程にもなったのだが、極度のあがり症で人前では演奏できなかった。
ある時は、メンデルスゾーンの協奏曲を演奏しようとステージに立ったが、何も演奏できずそのままステージから降りてきたというくらいの重症である。 ウィーンフィルのオーディションを受けたが、勿論惨敗。かくて、人前での演奏は無理と悟った内気なシベリウスは、作曲家に転向をはかったのである。今に残る画像を見ても、また曲からイメージされるあの厳格そのもののようなシベリウスだが、実際には天地ほどもイメージとは逆の人だったようだ。
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