2005/03/10

シェーンベルク『浄められた夜』(第2楽章)

弦楽六重奏版


弦楽オーケストラ版



 シェーンベルクは、今日では20世紀前半における無調音楽や12音技法の開拓者として有名であり、これらがしばしば理解しにくいために、初期作品の美しい響きは多くの聴き手に意外の感を与える。

初期のシェーンベルクは、ドイツの後期ロマン派音楽の流れから出発し、ブラームスとワーグナーの両者から多大な影響を受けている。ワーグナーからの影響は、トリスタン和音を拡張した高度な半音階技法に如実に見出され、ブラームスからの影響は小節線や拍節感の拘束から逃れようとする不規則な楽節構造や、綿密な動機労作に歴然としている。

本作品でシェーンベルクは豊かな音楽性を発揮しており、将来の無調性の開発を匂わせるような部分は、ごくわずかな部分に留まっている。

演奏時間にして約30分の単一楽章で作曲されているが、デーメルの詩に対応して5つの部分から構成される。それぞれの部分の主題は、原典に見出される物語や筋書きを音楽に写し取ったものである。すなわち本作は、室内楽のための標題音楽の優れた作例の一つにほかならない。

楽曲構成は様々な解釈が提出されており、ロンド形式とする説やソナタ形式よる2つの異なる楽章を連鎖させたものとする説がある。

シェーンベルク自身は、この作品の構造について示唆するような発言を残さなかった。1917年に最初の弦楽合奏版が作られ、その後にコントラバス・パートを手直しした1943年版も作成された。弦楽合奏版は、バレエ音楽に転用されることもある。
出典Wikipedia

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